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大量いやがらせメール送付の実態と法的現状について

2001年12月20日

前回、毎日大量のメールが送られてくることについて書いた。 毎日、3千通前後の嫌がらせメールが送り付けられるのが、先月末より断続的に続いて来た。 業務威力妨害による告訴なども検討した訳だが、ここに、その実態について公表することにした。

国会を含め、さまざまな所で議論があるようだが、実際に大量の嫌がらせメールを 送り付けられる側の生の情報とか、声とか、世の中の情報などを見ていると、 現実を知らぬまま勝手な憶測で踊っているとしか思えないので、公開することが 極めて有意義と考えた。

私のメールアドレスは、本ホームページ『パソコン初心者の館』 などで利用している私的なもの(といっても、コンピュータ雑誌や本などに 掲載されている訳であるが)として、 fuji@fuji.gr.jp がある。それとは別に、 会社としてのメールアドレスも当然有る。

これら2つのメールアドレスに、合計で毎日数千通のメールが送り付けられてくるのである。 つまり、1分間に何通もやってくるというペースである。ダイヤルアップしてメールを 取り込んでいるような人の場合、これではほとんど使いものにならなくなるレベルであろう。

インターネットに関する犯罪であるから、それらに対処するため、一般の警察では対処 するのに困難が当然あるため、 都道府県警察本部の ハイテク犯罪相談窓口一覧がある。一般の110とは違い、多くの都道府県警察本部では、 ハイテク用の電話番号を用意している。東京は警視庁であり、電話は 03-3431-8109 である。

問題が発生しているので、現状を知らせておく必要があろうということで、電話をしてみた。 そもそも、1日数千通も来るというのは始めてだと言う。メールを大量に送り付けて来る攻撃 というのは、当然こういうことに決まっているのであるが、最初の反応はそうであった。 で、話をしていて、警察の話は、現在の法律では、大量にメールを送り付けてくるだけでは 取締りできない。残念なことに、私および会社の方が、大量にメールを送り付けて来ても、 それに対して防御したり、処置できる能力があると、被害が出ているとは考え難いので、 メールアドレスを変更することで逃げてください、という話しかできないのである。

「馬鹿野郎、何のために警察が存在するんだ。警察は犯罪者の見方か!」と誰しもが 思うように私も思ったが、現在の法律では、通信の秘密の方が極度に重視され、 こういう判断しか、法律に従う以上警察はできませんということである。 事件が目の前で起きていることが確認できていながら、法律に従う以上見逃すしかない。 せいぜい、逃げ方を教えるのが警察の精いっぱいの努力であり、実際どうしようもない。

政府の、ネットワーク関連のセキュリティを行っている機関として、 私の会社も大変お世話になっている 情報処理事業振興事業協会の中に、 ISEC (Information-technology SEcurity Center)というのがあり、 ウイルスを始め、さまざまなトラブルの情報収集や、セキュリティ対策情報の公開などを 行っている。ここにも連絡を入れたが、ここは法的な対応する機関ではなく、 トラブルに対してどう対処するかを教えてくれたりするところであるので、 当方としては、技術的な防御に困っているのではなく、結局何も進展しない訳である。

政府、国会なども、全く検討をしていない訳ではない。今、私に送られている 大量のいやがらせメールは、Hメールなどであり、そういうメールを大量に一方的に 送り付ける人が、私の発言等を封じ込めたいのでやっていることは確実であろう。 今では、国会議員も含め、多くの人々の携帯にまでそういうメールが飛び込んで来る 時代になり、国会議員が自分自身の政治活動の弊害になる時代になってしまった。 そういう現実が有り、来春早々に開かれる国会では、緊急に成立させるべき法案として SPAMメールに対するさまざまな規制を盛り込もうとしている。

今では、誰がSPAMメールを送り続けているかが通信業者側に明確に分かっても、 それを被害者に知らせることができないという理不尽な法律が存在する。 今までも、攻撃に利用されたOCNとかJUSTNETなどに抗議を申し込んだが、 通信事業者としてできることは、通信を絶つところまでである。 犯罪者が誰であるかも分かっていながら、今の法律では犯罪者を守ることが 優先されてしまうのである。 SPAMメールを送り続けている者達は、いかにして表に出ないようにしようかという 連中である。メールアドレス販売とか、大量メールの代行送付とか、現在インターネット 上で大いに問題になっていることをやっている張本人達である。

たとえで言えば、ビストルの弾がどんどん飛んで来ていても、私は防弾服を 付けているので被害が出ていないから、何も問題ないでしょうというのである。 これに賛成できる人間がいるのであろうか。

日本がいくらIT国家を目指しているといっても、さまざまな面でちゃんと対策 ができていなければ、掛け声だけで終ってしまう。世界に誇るIT国家を目指すなら、 せめて世界のIT犯罪の基地にされないような法律の制定は最低必要なことである。

私以外にも、何名かから、同様の攻撃を受けたと言うメールは来ている。 実際には、SPAM反対とか公言している人は、こういう攻撃対象にされるわけである。 SPAM反対というのは、当然の行為と思うが、そういう事が守られないのである。

実際にこういう攻撃にさらされたとき、自分が直接システム管理にかかわっていたり、 指示できたりする立場にあるならば、ちゃんとした技術で防御することが可能である。 残念なことに、私のところでは、そういうことが出来てしまうので、法的に戦うに 充分なだけの被害が出ないのが困ったことなのである。

技術的にどうやって防いでいるかについて興味を持たれる方も多いと思うが、 それらに関しては、犯罪者に情報提供するだけになるので、ここには書かないことにする。 ちゃんと勉強すれば分かる程度のことをしているだけであり、実際インターネット上に 防御の方法については多数の情報が出ているし、最近は本も多数あるようで、 勉強する気がありさえすれば防御のための情報収集に困ることは無いと思う。

法律ができようと、できまいと、防御するだけの能力はインターネットの世界では 必要技術として身に付けておかなければならない。自分で勉強して身に付けるなり、 技術を持っている会社に相談するなり、そういうことで対応することは必須である。

来春、どこまで考えられた法律が準備できるかは、日本のITにとって重要である。 ITバブルがはじけたからどうしようとかとんでもない弱気な発言とかを国会議員から 直接聞くような機会も少なくないのだが、そんなこと言う暇があったら、IT国家に ふさわしい法律を考えて欲しいものである。

【お願い】最後に、ここまで読んでこられた方々に、このページの紹介を読者の関係者に お願いしたい。SPAM、迷惑メールの現状を知らせる情報の一つとして少しは 役に立つのではないかと思い、概要および感想をここに書いた次第である。


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