![]() |
書名 | 暗号の数理 作り方と解読の原理 |
|---|---|---|
| シリーズ | ブルーバックスB-421 | |
| 著者 | 一松信 | |
| 発行日 | 昭和55年3月20日 | |
| 発売元 | 講談社株式会社 | |
| サイズ | 新書判、218頁 | |
| 定価 | 520円(だった) | |
| ISBN | 4-06-??????-? |
本書は非常に古く、今(1996年)から16年前に出た本である。この本で説か れている暗号が、今世間で騒がれている「公開鍵暗号方式」の暗号プロトコル である。
といっても、一松先生がこの暗号を考案したのではなく、1977年に Scientific Americanの同年8月号に載ってから一気に騒がれた。そのころ、 私はパズルに興味があり、同誌の日本語版のサイエンスを読んでいたので、 当然のように知っていた。
本書はインターネットが出現するよりはるか前の書であるが、暗号に対する 考え方とかは、今読んでもちっとも古くない。今、「公開鍵暗号方式」につい て書かれている本に出ていることの、ほぼすべてがこの書には既に書かれてい る。
本書のあとがきには、
しかし現在のところ、大型計算機でないと処理が間にあわないとすると、主 目的として考えられた日常の電子郵便や個人情報ファイルのプライバシー保護 といった業務には高嶺の花であり、結局、軍事用やスパイ用にしか使われない ことになるかもしれない。とあるが、コンピュータの処理能力の飛躍的向上と低価格化により、だれで も自由に使えるようになり、この「あとがき」は、インターネットが普及し、 個人のプライバシーを守る必要が出た時に、暗号のためのインフラが整ってい たことを我々は喜ぶべきであろう。
本書は、「公開鍵暗号方式」だけでなく、それまでの暗号の歴史やその数理 についてもブルーバックス的レベルで解説があり、暗号の教養書としては今で も充分すぎるくらい役に立つ。
暗号の数理だけでなく、新しい暗号方式により発生した事件についても書か れていて、その点でも価値のある本である。
いずれにしても、さすが一松信先生の本だと思わせるものがある。