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プログラムの開発費用を評価するのに、通常はプログラムの「量」を用いる。 プログラムの量は、一般には、この文章と同様に、「行数」で評価される。1 0000行のプログラムを開発した、というふうに言う訳である。そして、受 託会社に支払われる金額は、だいたいこの「行数」を基準に算定される。 プログラムの行数は、非常に簡単に数えることができる。大抵のコンピュー タには、プログラムの行数を数える機能がついている。
もっと一目瞭然に分かる方法がある。それは、プログラムをプリントし、そ
の量で計るのである。冗談に、 これは確かに冗談だが、日本のコンピュータ社会を今まで眺めた経験からいっ て、そう考えざるを得ないことがよくあった。 別の会社が作成したプログラムを修正する作業をしていて、ものすごいプロ グラムを発見したことがある。プログラムの中に、300行以上にわたって、 同じことの繰り返しが延々と書かれていた。同じことを10回繰り返すのなら、 10回繰り返せという命令を書けばよいのだが、そういうふうには書かず、同 じことを10回書いてある。 この修正だけで、長さは10分の1になってしまう。まあ、同じことを繰り 返すのに、繰り返し命令を使わず、必要回数だけ書き並べれば絶対長くなる。 そういう手を使えば、プログラムの長さを倍増するのは容易である。 さらに色々調べていたら、結局、その部分は全く無駄であることが分かった。 無駄どころか、存在するために、でき上がったシステムの機能が落ちているこ とが判明したので、結局全部捨ててしまった。そのお蔭で、このプログラムは、 何の問題もなく動くようになった。
我々のやった作業は、プログラムの量で測ると、マイナスである。負の生産
をしたことになる。 その昔、某大手電機メーカーの研究所から超LSI関係のプログラムを受注し、 開発を続けていたが、途中で納期が来た。まだ私も仕事に慣れていなかった頃 だし、技術も相当未熟であった。また、研究開発にはつきものだが、こちらの プログラムを動かすには、装置その他がきちんと準備できないとテストができ ない。まあ、色々な理由の相乗効果で遅れが出た。
でも、経理上の納期がある。とくに大企業の相手をする時、とにかくこれを
守らなければいけない。それで、納期が来た時、どうやって納期を切り抜ける
べきかを研究所の担当者に聞いた。すると、 いまだに、「行いくら」、「キロいくら」で考える人が多い。最も測定しや すい指標だが、こんなので技術者の組んだプログラムが評価されたら、たまっ たものではない。今では、土方でも体力だけでは勤まらない時代だ。土木用の 超大型ダンプだってオートマ車になっていて、かわいい女の子にも楽々運転で きる。「力」ではなく「技術」を評価して欲しい。特に、プログラムを作らず に目的を達成してしまう「ハイテク技術」を高く評価して欲しい。 そういう評価をしていないと、結局は自分に被害が及んでくる。同じことを するプログラムでも、下手ほど長いプログラムになり、より多くの報酬を得る ことが出来る。さらに、下手が作ったプログラムは長くて遅いだけではなく、 誤った動作をする。踏んだり蹴ったりのプログラムを作った方が評価される日 本は、いったいどうなっているのだろう。
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