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書名 | 武宮正樹の土壇場の極意 |
|---|---|---|
| 著者 | 武宮正樹+小堀勝亮 | |
| 文庫 | 徳間文庫 た−37−1 | |
| 発行 | 1996年1月15日 | |
| 頁数 | 253ページ | |
| 定価 | 520円 | |
| ISBN | 4-19-890448-0 |
囲碁愛好家あるいはバックギャモン愛好家なら、武宮正樹の名を知らない者 はいないであろう。日本の超一流の棋士であるだけでなく、あの『宇宙流』と いう、とても私などが下手に真似すると、あっと言う間に空中分解してしまう 独特の碁風の棋士であり、それゆえファンも非常に多い。
本書は、武宮氏が、第20期(平成8年)名人位をいかにして獲得したか、 好きなマージャンを止め、毎朝早起きして息子と囲碁の早朝トレーニングに励 んだことなどが書かれている。
第20期は、名人小林に、武宮が挑戦し、タイトルを奪取するのであるが、 実は第13期に同じ組合せがあった。対戦者の小林の、勝ちに来る碁と、壮大 な構図で戦う武宮とは全く碁風が違った。そして、当時の小林棋聖は、多くの ビッグタイトルを手にし、碁界の頂点に君臨していたのであるが、こともあろ うに、挑戦者武宮は、
「あんな碁が名人、棋聖ではおかしい」
と言ってしまったのである。放言であるが、当然暴言として捉えられ、囲碁 関係の雑誌などを賑わしたのであるが、このタイトル戦は4−1で小林が制し た。勝てばまだ面目が保たれるが、負けてはどうしようもない。
その後、いろいろあったようだが、詳しくは本書を読んで欲しい。とにかく、 本書は囲碁の本ではあるが、棋譜(囲碁の図)は全くない。一部に囲碁の言葉 なども出て来るが、それほど囲碁に詳しくなくても十分楽しめる。
本書の前半は武宮自身が書き、後半は囲碁観戦記者である小堀勝亮氏が囲碁 のプロの世界について、武宮正樹およびその父を中心に書いている。
東大に入るのと、囲碁のプロになるのとどちらが大変かを書いている。世間 の人がそういう質問を良くするらしい。プロ棋士になるのは非常に大変であり、 それに比べたら東大なんて、とあるが実際そうであろう。難易度に差がありす ぎて比較にさえならない程である。
その中で、頂点に立てる人、ビッグタイトルを手にする人はさらに少ない。 せいぜい数年に一人くらいしかいない。
何を書こうとしたのか分からなくなった。武宮の碁風は他の棋士が全くもっ ていない雄大さを感じるのであるが、とてもあのようには私には打てない。根 が貧乏性(「症」の方が正しいくらい)だから、早めに地を稼いで、何とか逃 げきってしまおうとしてしまう。これでは進歩がない。
ところで、今は便利なインターネットの世界で、 日本棋院 のホームページもあり、各棋士の情報も簡単に入手できる。それで、現在の 名人を調べてみると、第21期名人は趙治勲になっていた。棋聖、名人、本因坊 の3大タイトルを全部持っている。武宮正樹名人は防衛出来なかったのだ。