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続・計算尺


今朝、計算尺はないかと、家の中にまだうず高く積もっている段ボール箱の 中を捜した。最初に見つかったのが、左の円形の計算尺である。

通常計算尺はこういう風に丸くなっていたりはしない。本来まっすぐのもの を丸くしてしまった計算尺である。

この計算尺は、妻のものである。「東京国際空港ソラリーデータビジョンシ ステム完成記念1968」と裏に印刷され、日本航空ビルデング株式会社が完 成記念に関係者に配ったものである。

下に示すのが、普通よく使われていた、一般的な計算尺 (ヘンミ計算尺製)である。

日本商工会議所の6級〜4級くらいまでなら、この計算尺で十分だったはず である。中央の尺の裏側には、sinとcosの尺もあり、L尺という対数尺(実は 等間隔の尺)もついている。

さらに複雑なことをやるとか、1級、2級を目指すならば下に示すように、 両面が使えるものが必要になる。 (ヘンミ計算尺製)

これは、機械設計用の計算尺である。今見えている表面には、通常の掛算、 割算を行なうための、C, D, CI, DF, CF, CIF の尺がついていて、両側には 指数・対数のためのLL尺がついている。

裏側には、S(sin), T(tan)ならびに sin と tan を共用したST尺というのが ついている。これは、非常にちいさな角度では、sin と tan は同じでいいじゃ ないかということで、そのようになっている。

cos尺はない。それは、sin尺の色を変えて数字だけがところどころに印刷し てあるだけだ。 その他に、2乗、3乗のための尺などがある。

中央と下の計算尺には面白い違いがある。計算尺は、計算をするときに、板 に描いている目盛と、透明な板の中央にある目盛(カーソル)を移動して計算 するのであるが、合わせたい目盛が左右にはみ出した位置になってしまい合わ すことができなくなることがある。これを確か「目外れ」と言ったと思う。

そのために、計算尺の長さのちょうど半分あたりのところで切って、この目 外れが起きても計算を続けられるように、D, C, CI の各尺に対して DF, CF, CIF 尺を作っている。正確に半分のところは、ルート10、つまり10の平方 根である。中央の計算尺はそこで切れているのであるが、下の計算尺はπで切 られている。

理論上は、どこか適当なところで切ればよいのである。目外れの減少を最少 にしようとすれば、ちょうど半分がいいのであるが、円周率のπは技術計算で しばしば遭遇する値であり、そこで切ってあれば、πを掛けるとき、なんの操 作をしなくても計算できてしまうので、下の機械設計用ではπで切れているの である。

詳しい使い方を対数を使ってちゃんと説明すればいいのだが、面倒なので止 める。それにしても、電卓の普及で、計算尺は完全に廃れてしまった。もう博 物館に飾っておくくらいしか利用価値はなくなったようだ。

計算尺に関するもっと多くの情報は、 東京理科大学近代科学資料館計算尺 を御覧下さい。

1996年8月31日 記


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