読書感想文コンピュータ編アルゴリズム・知識工学
書名進化論的計算手法
シリーズ知の科学
著者伊庭斉志
編集人工知能学会
発行日平成17年1月15日
発売元株式会社オーム社
サイズA5判、239頁
定価3800円+税
ISBN4-274-20018-3

本書は、遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithms, GA)、 遺伝的プログラミング(Genetic Programming, GP) およびそれらの応用に関して のちょっと詳しめの概説書といったところであろうか。

突然こんな本を読んだのには訳がある。ある知識工学的(?)なプログラムを 現在いじっているのだが、それにGAが利用できないだろうか ということで、その可能性を探る目的で斜め読みできそうな本を先ず読んでみた。 要するに、自分の頭で考えても限界があるので、遺伝的アルゴリズムに 頼れないかと思った訳である。

GAの適用で上手くいくと言われている例の1つに巡回セールスマン問題がある。 この場合には、通常、評価は経路長で行われる。経路長が短いものほど良いとされる。 まあ、実際の応用の場合には、経路長というあまりにも単純な方法ではなく、 もっと沢山の要素がからみあって、コストで評価することになるんだろう。

GAでは、この評価に関することを「適合度」と呼ぶようだ。 遺伝なので、環境にどのくらい適合し、次の世代に残っていくかの割合に関係してくる。 本書を読むと、この適合度というのは、 どうも自明または簡単に求められるものとの仮定の上で議論が進んでいくようだった。

しかし、今抱えている問題というのが、 どういう風にして適合度を計算すれば良いかが問題になっているのである。 要するに、個々の計算結果に対して、結果が良かったか悪かったの判定に 困っている訳である。経験ある人間なら、それが比較的簡単に判定できるのだが、 それの数量化がなかなかできないので、遺伝的アルゴリズムにすがろうかと 思ったのであるが、どうも予測が外れたようだった。

でも、今迄遺伝的アルゴリズムについて不勉強だったので、 本書を斜め読みしたことは非常に良かった。 なにしろ、遺伝的アルゴリズムがどんなものかという知識をぼんやりながらでも 獲得できたのである。

じつは、そういうことよりも、「頑強性」ということの重要性を認識できたこと が重要だ。ごちゃごちゃ説明しても良いのだが、終章に頑強性に関するすばらしい 解説があったので、以下に1パラグラフだけ引用しておく。もっと詳しく知りたい 場合は、本書を読まれたし。

 第二の重要な点は、集団内にさまざまな成員がいる必要性を示したことである。 進化論的手法では、集団中で成績のよいものをより多産で生き残りやすいように 進化させる。しかし、成績の良いエリートばかりを常に集めておけばよいわけで はない。こうすると環境が変化した場合にその集団全体が落ちぶれることがある。 エリート集団からは同じような子孫しか生れず、現時点の環境では確かに成績は よいが、新しい状況への適応能力がしばしば欠けているからである。3章で説明 したようにこの性質を「頑強性がない」と呼ぶが、できるだけ避けるのが望まし い。つまり、ある意味ではとんでもない奴や落伍者の存在を集団内に許すのが良 い。彼らは通常は無駄飯喰らいかもしれないが、あるときには救世主になりうる からである。

無駄飯を喰っている場合には、上記の説明をすることで、周囲を納得させること ができるのではないかと思う。 それにしても、日本の教育は「頑強性」に欠けているのではないかと思うがどうだろう。

2006年6月4日

美しいパズルとは

ナンプレ問題
自動生成


これで、今日から
貴方もパズル作家

Cパズル
プログラミング
〜再帰編〜



読書感想文コンピュータ編アルゴリズム・知識工学