読書感想文コンピュータ編インターネット
書名ここが危ない電子マネー
著者那野比古
発行日1997年1月27日
発行元日刊工業新聞社
サイズ四六判、213頁
定価1400円
ISBN4-526-03965-9

インターネットでビジネス、商取引を行なうには電子マネーが非常に重要な 役割を果たす。しかし、この点に焦点をおき、技術的な面はもとより、将来の ビッグビジネスを目指した各社の覇権争いまで幅広く扱った本は極めて少ない。

本の帯とか、前書きに口上だけは堂々と書いているものの、ほとんどの本が ボロボロである中、この本はかなりしっかり書かれている。そして、内容的に も新しい。なんたって、今年出た本であり、当然であるが、それでも、この本 の執筆以降に起きた、電子マネー社会の駆け引きが出てない。当たり前のこと だが、このあたりは極めて重要なことである。

電子マネーに関する分析だけでなく、さまざまな考えられうるトラブルの解 説は詳しい。また、一番問題になる法律との問題についても触れていて、まだ 解釈そのものもない現状で、もし電子マネーをこう解釈すると、こんな事件が 起きるなんてのも面白かった。

デジタルキャッシュというやつを法的に「債券」と解釈することもできるが、 債券とみなされると、有効期限が存在することになる。10年間の間に現金化さ れなければ、発行者は換金を求められても換金する義務がなくなってしまう。 ということは、電子マネーがぐるぐる回っている間に、期限が過ぎてしまうか もしれないので、電子マネーの持ち主は、常に有効期限を気にしていなければ ならなくなるかも知れないのである。

インターネットにはさまざまな落し穴が存在する。クラッカーがやるいたず らや犯罪だけでなく、システム開発自体の問題から、コンピュータ、通信回線 の故障に至るまで、あらゆるものが関係してくる。

その中でも、国鉄が行なった1985年の「みどりの窓口」大強化作戦であ る「スーパーマルス」である。1985年3月1日、国分寺の中央情報システ ム管理センターに仁杉国鉄総裁が出席して稼働開始式が行なわれた。午前10 時に、4年がかり、161億円を投入したシステムの始動ボタンを押した。

すると、全国のみどりの窓口の端末はいっせいにあらぬ動きを始め、5分後 にはシステム・ダウンしたという。まあ、詳しい説明は、本書を買うなり、立 ち読みして調べて欲しい。

私としては、もっと電子マネー自体の詳しいことが知りたかったのである。 本書は、暗号についてだけでも40%のページを割き、その他インターネット、 コンピュータ全般の話も含めると、純粋に電子マネーのことが書かれている部 分は半分に満たない。1冊で、電子マネーをとりまくさまざまの基礎知識的な ところから書くとこうなるのもしかたないかもしれないが、ちょっと残念であっ た。


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