読書感想文コンピュータ編日本語情報処理

日本語情報処理

著 者:Ken Lunde(小林剣)
訳 者:春遍雀來(ハルペンジャック)、鈴木武生
発売元:ソフトバンク  株式会社
発行日:1995年 8月25日 初版第1刷
定 価:4800円
サイズ:B6版 496ページ
ISBN 4-89052-708-7

本書は、日本語情報処理に関する、現在入手可能な、もっとも良い本である。 私が著作のために、ほんの僅かであるが協力したから言う訳ではない。この本 に匹敵するだけの優れた著作物は、今のところまだないのだ。

この本、著者は日本人ではない。Ken Lunde、またの名を小林剣という、 Adobe Systems Incorporated.の 和文フォント製作プロジェクトマネージャーであり、言語学博士でもある。

この本は、その表紙の絵から『ふぐ本』と呼ばれている。

本書は、日本語、とくに漢字コードについて相当詳しい説明がされているこ とである。とりわけ、JIS X 0212(補助漢字)の項目が、Adobeのフォントを 使って綺麗に印刷されているのは、他の書物では全く見られない特徴である。

漢字コードはメーカーの数だけコードの種類があると言われていたが、それ ぞれのメーカーの漢字コードの体系についても簡単ながら触れている。

現在の主力な漢字コード体系であるJIS,シフトJIS,EUCの3種の関係につい ては大変詳しい。さらに、東アジア諸国、つまり韓国、台湾、中国のコードに も触れている。そして、悪名高いと言われているUnicodeについても触れてい る。UnicodeとISO 10646の関係もちゃんと書いている。

まあ、日本語情報処理、とりわけ漢字コードなどについて「あーだ、こーだ」 と言うのだったら、この本の内容くらいは最低限押えておいてから話をして欲 しいと思う。

この本の最大の特徴は、まず、英語版が出たことだろう。これだけ立派な内 容で、それも英語で、外人が書いたというところが注目に値する。何しろ、コ ンピュータの世界は、未だに英語しか考慮していない場合が多い。

アメリカの大手コンピュータ会社の経営最高責任者(CEO)である社長と か会長とかがやって来て、

「国際化対応をしました。これで日本の皆さんも日本語が自由に使えるよう になったでしょう。」

と、にこやかに言ってもあてにしては絶対にいけなかった。でも、この本が 出て、日本語を理解できないアメリカ人達にも、日本語情報処理のためにはど のようなことに気をつけなければならないかが、やっと理解できるようになっ たのである。その点でこの本は画期的なのである。これで、世界のコンピュー タの国際化対応、多国語化対応が進むだろう、かな。

著者のホーム ページもあります。本には、メールアドレスが、lunde@ora.com と書いて あった。もちろんAdobe Systemsの方であるからそちらのメールアドレスもあ ることはある。

Lunde氏にメールを出すときには、特に英語で書く必要はありません。充分 過ぎる程日本語を解する方なので、日本語で大丈夫です。すると、英語でお返 事がもらえるかもしれません。私もそのようにして、本書の執筆に協力しまし た。お互いに、異なる言語を使ってメールをやりとりするというのは便利と言 うか何と言うか、これこそ国際化なんでしょう。


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