読書感想文コンピュータ編パソコン
書名「例題で学ぶ」DSP
プログラミング実践入門
著者三谷政昭
発行元株式会社技術評論社
発行日平成10年12月25日初版
定価2480円(本体)
サイズB5変型判
頁数199頁、CD付き
ISBN4-7741-0698-4

『入門DSPのすべて』が題名通りに、 あまりもの入門で、ぱらぱらと読めたけれど何も身につかなかったので、もう 一歩進んだものをということで手にいれた本である。

本書は、TIから出ているDSPのトレーニングキット 『C5x・DSPスターターキット』を用いて、簡単なDSPのプログ ラムをつくって勉強しようという本である。まあ、遊ぼうといった方が正確か もしれないが。

昔、NECがTK-80トレーニングキットなるものを出し、マイコン(8080)とはど んなものか勉強できるものを売り出したことがある。もう20年以上前のこと であり、私はそれを買って、プログラムの勉強をしたのであった。

まあ、本書は、そのような類いのキットで遊ぶための簡単なプログラムの説 明が載っている。DSPなので、音声を入力して、DSPで何らかの変換をして、 その結果を出力してデジタル信号処理とはいかなる効果ががあるかを体験する ものである。

したがって、本書で遊ぶには、ちゃんとキットも購入して遊ぶべきである。 しかし、私は本だけをぱらぱらと読んだ。昔、8080のアセンブラを勉強した頃 を再体験するようで、懐かしさを感じた。これが、今流行のDSPということは、 なんだか歴史は繰り返しているような気がする。

本書は、一応プログラムの説明や、デジタルフィルタの簡単な説明はあるが、 あくまで遊びのレベルであり、簡単なプログラムである。DSPのアーキテクチャ の説明はなく、必要な都度、適度に説明するというやりかたであり、索引もな いので、後から利用するようなタイプの本ではない。読物といった風である。

最後の方で、DSPはいかにΣ演算に優れているか、とくにΣa(i)*x(i)のよう な積和演算に特化した命令が存在するかの例が出てくる。確かに、デジタルフィ ルタのような利用にはとっても便利である。しかし、DSPで普通の処理をやら せようとすると、制限事項が多くて、まるで20年以上前のミニコンを使って いるような感じがするのではなかろうか。もしかすると、そのころバリバリの プログラマで、今ではすっかりボロボロになっているオジサン達が、DSPに目 覚めて復活なんてことはあるのだろうか。

本書のCDには、サンプルとか、デバッガとかが入っているようだが、アセン ブラやローダは入っていなかったので、TIのホームページから落してきた。色 々なサンプルは、TIのページにいっぱい転がっているようなので、そちらで勉 強するのが本筋であろう。

本として、もう少しつっこんだものが欲しいと思って本屋へいったけれど、 デジタル信号処理理論の本ばかりが多くて、実際的なプログラミングに関する 本は皆無に近かった。で、ちらっと横を向いたら、TIのデータブックがずらっ と並んでいて、DSPに関するマニュアル類も何冊かあった。でも、これを買っ てしまうと完全にはまると思い、購入はとりあえず思い止まった。除夜の鐘を 聞きながらDSPのプログラミングはやらないぞ!

1998年12月31日


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