読書感想文コンピュータ編その他(トラブル本)
書名ゲーム脳の恐怖
叢書NHK新書 036
著者森 昭雄
発行日2002年7月10日
発行元日本放送出版協会
頁数新書判、196頁
定価660円(本体)
ISBN4-14-088036-8

この本は、ちょっと話題になっている「ゲーム脳」という言葉を広めた本ということで、読んでみた。 テレビゲームを子供達がやり過ぎると子供達の脳が壊れるということが 脳波データの解析から明らかになり、それについて書いているのである。

比較的簡単な装置で、ゲームをやっているときの脳波を記録し、 いっぱいゲームをやった人の脳波は、実は痴呆症の人の波形と 非常に似ているということである。 脳波に、α波とβ波があるが、ゲームをやりすぎると、β波がどんどん出なく なってしまうのだそうである。様々な場合の測定データがグラフで示され、 比較検討し、脳に関する知識を背景に、やっぱりゲームのやり過ぎは非常にマ ズイという本である。

本書で非常にはっきりしないのは、ゲームで遊びながら測定とあっても、 そのゲームが何であるかが、かなり曖昧に書かれているので、なかなか判断に困る。 ゲームの種類はある程度分けてあるものの、それでもあまりに漠然で、 ちょっとこれでは、ぼやけ過ぎている。 測定したときにゲーム名称、機種くらいは明確にして欲しい。 また、長年ゲームをやってきた人の場合でも、どんなゲームを、どの程度のレ ベルまでやったのかは欲しい。1日何時間くらいだけでは困る。

本書を読む限り、被験者の数があまりにも少ない気がする。 できることなら、少なくとも数百人規模で実験を行い、 色々データを取って、もう少しちゃんとした記述が欲しいところである。 新書という制約もあり、結論までがかなり短絡している節がある。

まあ、それでも、脳の発達の段階、要するに子供の頃に、毎日何時間も ただただ反応速度を要求されるようなゲームばかりやっていては良くなかろう とは私も思う。頭に悪いだけでなく、目とか、指とか、そういう面で悪いとこ ろもある。まあ、1日のほとんどをゲームで過ごすようになれば、 その他のことをしなくなっている訳だから、ゲームそのものが悪いというより、 ゲーム以外のことを何もしないことが悪いのかも知れない。

本書を読む限り、データが不足過ぎるし、多角的な検討が決定的に不足としか思えない。 実際の研究内容と、本書の内容がどこまで一致しているかもよく分からない。

もう少し主観を取り除いて、十分な量のデータで根拠をはっきりして欲しいも のである。とくに、ゲームに関する記述に変なところが多く、ゲームに関する 知識が不足していたり偏見が見受けられる。

ゲーム、とくにテトリスのようなゲームの場合、頭を使うと言うより、反射神 経と、最後は体力的集中力の勝負になってしまう。もうずいぶん前だが、 テトリスの発展形である xhextris という 正六角形が4個繋がったものが落 ちてくるゲームを延々と楽しんでいた事がある。最初は下手で簡単にゲームが 終わったのだが、慣れてくるといつまででも出きるようになり、体力勝負だけ になってしまった。まあ、そうなるとつまらなくなって、やらなくなってしまった。

本書では、囲碁将棋のソフトも、やはりゲーム脳になってしまうとあったが、 そうであろうか。まあ、非常に下手糞で、ただただ駒を動かしたり、 石をただ置くというだけの操作で、ほとんど考えていない永久初心者の場合には、 そうなる可能 性もあるとは思う。 囲碁将棋のソフトの場合、せめて遊んでいる人の実力の明示くらいは最低して欲しいものだ。

私にとって気になるのは、パズルをやったときに、脳波はどうなるかである。 もちろん、下手な人と上手な人とでは異なるのではないかと思う。

2003年6月30日


読書感想文コンピュータ編その他(トラブル本)