読書感想文コンピュータ編その他(トラブル本)
書名実録SEの履歴書
叢書技評SE新書 006
著者SEライフ編集部
発行日平成18年11月25日
発行元株式会社技術評論社
頁数新書判、188頁(本文)
定価840円(本体)
ISBN4-7741-2936-4

最近は本当に新書ブームである。昔は、新書と言えば、岩波新書のことと決っていたような 気がするが、今はどのくらいの出版社が新書を出しているのか見当もつかない。

本書は、技術評論社が、SEになりたい人のための新書ということであろうか、 「技評SE新書」というシリーズ名で出している中の最新刊のものである。 まだ発行日前であるが、何故か机の上に飛んできたので、ざっと読んだ。

第一線で活躍するSEが、実際にどのようにして現在までやってきたかを インタビューなどをして作り上げたような感じの本である。 SEといっても色々なタイプのSEがいると思うのだが、 そこは技評ということもあり、オープンソース関係のSE、技術者が中心というか、 そればかりのような気がしないでもない。

私自身は、SEのような面倒なことはやりたいと思ったことは一度もないのだが、 何故かときどきSEもどきのことをやらされてしまい、疲労困憊し、体を壊しそうになる。 私にできることは、せいぜい長くて数万行のプログラムを作ったりする程度である。 間違えて、数十万行のプログラムの相手をさせられたこと、 あるいはもっと長大なプログラムの一部を変更してしまうなどもあったが、 そういうことは、兎に角大変だ。

独りで勝手なプログラムを作るのが一番楽しいのであるが、 時間的な制約、私の能力不足、体力不足など色々あって、 どうしても複数人でプログラムを作らざるを得ないことは多い。 沢山の人、それも自社内だけでなく、数えきれない程の企業が関係するような開発もあって、 さてこのプロジェクトはどうなるんだろう、自分の分担は完成したのだが、 全体がいつ完成するかも知れず、いつになったらテストできるのやらという 万里長城みたいなのもあった。つまり、ちゃんと完成したところを見たことがないのもある。

この本は、そういうSEの話ではなくて、もっと華麗にSEをやってきたというか、 ソフトウェア技術者をやってきた人々の紹介である。

結論から言うと、この本に載っているような優れたSEというものは、 非常にわがまま(自分に忠実で)で、やりたいことをやってきたのである。 負けん気が強かったり、何にでも首をつっこんだり、 とんでもない凝り性だったりする訳だ。 そして、会社という小さな枠に囚われていないので、 様々な社外活動にも首をつっこんでいる。 社内だけだと、誰だって考えが小さくなってしまうだろうから、 一種の異業種交流という意味で、常に外に目を向けておくことは、 「井の中の蛙」にならないために必須だろう。

本書で紹介されている人々は、 期待される人間像からは大きく外れている面をちゃんと持っていて、 そいいう人が大成すると考えれば良いような気がする。 私に都合の良い結論を出すことができたので、このあたりで終ろう。

2006年11月5日


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