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書名 |
ロボットにつけるクスリ 誤解だらけのコンピュータサイエンス |
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著者 | 星野力 | |
発行日 | 2000年2月20日 | |
発行元 | 株式会社アスキー | |
頁数 | 四六変型判、336頁 | |
定価 | 1800円(本体) | |
ISBN | 4-7561-3312-6 |
本書は、筑波大学の一般教養科目である「科学技術とSF」がベースになって おり、その中の人工知能とか、コンピュータ、ロボットに関係深い部分が月刊誌 ASCIIに連載され、さらにそれらをまとめ直したのが本書という。
ちょっと阿呆な卒業生が出身研究室の教授に相談にくるという対話形式になっていて、 当然教授の方が著者という設定である。
著者自身が、本書はかなり辛口であると何度となく弁明めいたことを書いているが、 読んだ感じではそんなことは何もなく、人工知能の現実を直視している感じが伺えた。 まあ、私の場合は、不幸にしてか、この業界が長いもので、直接あるいは間接に ロボットや人工知能の関係者がいて、さまざまなことを聞かされ続けてしまったのである。 現実を知ると夢も希望も無くなるということを聞くが、実際はそんなものではなく、 まあその程度で無くなる夢なんぞはどうしようもないのである。できるだけ全てを 知った上で夢を見るのが正しい夢の見方であり、将来があるというものだ。
ロボットとか人工知能に関しては、超楽観論から超悲観論まで極端な考えで書かれた ものが多くて困るが、そういうマスコミ受けするようなのではなく、実際にそういう 世界と関係ある人が、ちゃんとした知識や経験の上で書かれた本は非常に貴重である。 本書の場合、SFのこともかなり書かれているが、現実の科学技術がSFを超えて しまった部分も既にいっぱいあったりする。しかし、こと人工知能に関しては、 まだまだ先は無茶苦茶長いのである。
本書は、人工知能やロボットの知能部分についての基礎的な勉強の導入としては 非常に良いかと思う。理工系の学生向けというニュアンスはそれほどなく、ちょっと コンピュータやロボット、人工知能などに興味がある高校生以上ならば、充分に読める 本であり、またこの程度の知識は、これからの世の中では一般教養として誰しも身につけて おいて損はないと思う。
(オフレコだが、息子がこの本をずっと自分の部屋に置いていて読んでいたようなのである。 もしかしたら、ロボットとJAVAとの間に深い関係があるということを悟られてしまったかもしれない。 やばい。)
2001年2月12日