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書名 | 上海・浦東
IT世界戦略基地の実像 |
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著者 | 沼尻勉 | |
発行日 | 2001年5月15日 | |
発行元 | 株式会社講談社 | |
頁数 | 四六判、225頁 | |
定価 | 1700円(本体) | |
ISBN | 4-06-210738-4 |
上海の発展ぶりは良く聞く。実際、パソコンを組み立てていても、その多くが 中国製部品であり、以前は広東とかが多かったようだが、今は上海も増えているらしいが、 そのあたりのまとまった情報が欲しいと思っていたときに見つけた本である。
上海の浦東(ほとう)が、天安門事件で世界の信用を失ってしまったのを回復するため、 そして上海の復活のために、大規模な開発を行い、かつ世界の大企業に進出してもらい、 中国経済の発展も合わせて行おうとしたらしい。
まあ、どう転んでも中国は大市場である。人口は大変なもので、日本より1桁多いのである。 位置的にも、非常に恵まれた地点であり、その昔、世界の列強がここを中国侵略拠点にしたのも 当然であろう。中央政府は、上海に海外と国内の架け橋の役割をさせようとしているらしい。 そういう役割が果たせる地理的条件は、確かに上海しか考えられないと思う。
今、上海は、アジアの金融基地を目指している。実際、世界的な超高層ビルがどんどん 建てられている大変な都市に変貌したしまったようである。あまりにも変化が激しいので 地図がないという話があったが、実は中国ではそれほど地図を作ろうという意志がないようで、 旧市街でも地図はないらしい。そもそも、家と勤務地の往復以外をうろちょろすることが ないらしく、生活の中に地図がないとの話があった。だから案内図という考えもないらしい。
そういう、ITとか金融とかで最近話題が多い上海であるが、観光案内の本はあっても、 もっと産業とかについて書いた本は少ない。ITとかいうと、ほとんどがアメリカ、それも シリコンバレーしか目が向いていなくて残念である。世界全体に常に目を配りたいものである。 アジア各国のITを始め、先端産業についての情報は非常に不足していると思う。
本書は、浦東の過去から現在まで、さまざまな統計や写真を交えながらかなり丁寧に 解説している。上海のITとかの新技術分野に興味のある人にはお薦めであろう。
まあ、某社の社員旅行もそのうち上海へ行くなんてことも考えながら読んでしまったかも知れない。
2001年5月21日