読書感想文コンピュータ編その他(トラブル本)
書名組織IQ
小さな企業から大企業まで───本当の実力度
著者鈴木勘一郎
野村総合研究所 上席コンサルタント
発行日2001年7月10日
発行元株式会社角川書店
頁数B6判、198頁
定価571円(本体)
ISBN4-04-704040-1

題名の通り、組織の能力について書いた本である。 太平洋戦争における日本軍とアメリカ軍の違いが、今の日本とアメリカの企業 の差としてもそのままあてはまるではないか、というような議論がかなりされている。

要するに、先送り、閉鎖的、努力あるのみがいまだに日本では横行しているので、 早く考え方を変えて、素早い判断、情報共有し、肩書だけで何も分かっていない上の 方が権限を握り続けるのではなく、早く現場に権限を移しなさい、というようなことが 書いてある。

こう書いてしまうと、身も蓋もない。しかし、周囲の人々を説得させるために 必要な説得戦略のための本として見ると、なかなかまとまっているのである。 見近な実例があったり、これはと思うようなまとめ方が色々しています。 そういう意味では、本書は大変良くできていると思います。

そう思ってずっと読んでいたのですが、最後の方になって、椅子から ころげ落ちそうになってしまったのである。

一番最後の9章が、「ビジネスマンIQ強化策」という題であった。 本書のまとめとして、役立つことがまとめられている感じの題名である。

(1) ユニークな見方をする
いつも普通の考えをしろ、ユニークなのはダメと子供のころから ずっと言い続けられてきたので、さてどうしたものかな。
(2) ITのスキル
パソコンやインターネットくらいは使えないといけません。 なんとか振り落されないように食らいついてください、とか言われてもね。 う〜ん、なんだこのまとめは!
(3) 会計・財務のスキル
確かに、ビジネスマン、もちろん技術者も含めてだが、 自分の働き、その他周囲の働きはもちろん、この会社は大丈夫かなど、 新卒の学生ですらある程度は知っておくべきことだと思う。 選んだ会社が、入社前に消滅したとかいっても、それは選んだ人の自己責任。
でも、実際には、数字で表しうる部分だけでなく、非数字の部分まで把握できて 一人前だと思うのであるが、どうだろう。
(4) 英語のスキル
英語の技術書を渡されて逃げる大卒って、偽大卒だよな。 英語のWEBページは、翻訳ソフトを使って見てるから大丈夫なんて面接で発言したら、 その場で面接官はボツにするに決まっているのだが、分からぬ人もいるようだ。
というのがあって、最後をこのようなまとめにしなくてはならない社会なのかと ため息が出たのであった。

2001年8月25日


読書感想文コンピュータ編その他(トラブル本)