The BUG

読書感想文コンピュータ編／その他（トラブル本）

	書名	The BUG
	著者	すずきひろのぶ・かとうみつあき
	イラスト	桐谷砂登子
	発行日	平成７年９月１７日
	発行元	株式会社オーム社
	頁数	Ａ５版、１９０頁
	定価	１４００円（本体）
	ISBN	4-274-06127-2

「バグ」に関する本は多い。ソフトウェアが存在して以後、バグは増殖する一方であり、そのため、バグに関する本も多いのである。しかし、それらの本の効果は今だかつて見られたことは無く、いまも高速増殖中である。

さて、本書は、このところオーム社が力を入れている、イラスト入りのコンピュータ業界トラブル本の１つである。今まで出した本が良く売れたらしく、柳の下の鯲を狙ったものであるのかもしれぬ。

本書のイラストは良い。

文字だけによって説明すると堅苦しくなってしまうのを、実際は辛辣なのであるが、軽いタッチのイラストにより、チクリと本質を伝えようとするのは気持が良い。だが、奥付などを見ても、イラストを書いた人の名前がない。この本のかなりの部分が、イラストによってもっているのであるから、是非、このカットを描いた人の名前は入れておいて欲しかった……と思ったら、目次の最後にこっそり入っていた。

内容は、はじめは楽しかったのであるが、後半は、ボロボロであった。後半は、もうあちこちの設計技法の本に書かれすぎていることの蒸し返しから一歩も踏み出していなくて、辛抱しながら読んだのが事実である。

後半は、本当に、滅茶苦茶につまらなかった。

こういうことを書いた本は、もう、本屋で充分に腐っていて、かつ、現実のソフトウェア開発現場におけるバグ対策は、恐ろしい程にお寒い。なのに、こういう書き方をしたのでは、後半の章自体が、バグっているといえるのではないか。

その他にも、この本にはバグがある。あまり校正をきちんとやっていないことが分かる。たとえば、11ページに、

1992年1月27日－マンチェスター発イスラマバード行ボーイング747ｰ200が突然機種を上げた。

とある。飛んでる最中に「機種」を上げるということは、飛行機が突然変身をして「別の機種」になることだろう。まあ、最近はそんな飛行機があるのかもしれない。もしかして、ここは「機首」のあやまりなのではないだろうかと思うのだが、どうだろう。

ああ、嫌だ、嫌だ。こういう本を読んでいても、つい昔の癖がでてしまい、赤ボールペンを出して、自分でも気が付かない間に校正をしてしまっていた。と反省しながら読み進んでいたら、また１７ページに誤植を２個所も見つけてしまった。職業病から回復できない自分が情けない。

１９９５年１２月１８日

読書感想文コンピュータ編／その他（トラブル本）