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書名 | 動かないコンピュータ 情報処理システムに見る失敗の研究 |
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著者 | 日経コンピュータ編 | |
発行日 | 2002年12月9日 | |
発行元 | 日経BP社 | |
頁数 | 四六判、208頁 | |
定価 | 1500円(本体) | |
ISBN | 4-8222-0784-6 |
本屋で、本の題名を見て何も考えず、購入してしまった。
日経コンピュータは、創刊当時から何年間か定期講読していて、その中でもっ とも熱心に読んでいたのが「動かないコンピュータ」の連載であった。本書は、 それをまとめ直したものである。
コンピュータ、とりわけソフト開発に関わっている者にとって、プログラムの 開発はなかなかうまく行かないものであることは周知の事実である。それにもか かわらず、世間ではコンピュータが出す結果は正しいと信じて疑わない人がまだ まだいる。新聞にも大きく取り上げられるような銀行オンラインのトラブルのよ うな多数の人々に影響を与えるような事件が起きてさえ、まだコンピュータは正 確極まりないものと思い込んでいる。
しかし、ソフト開発現場では、トラブルは頻発している。さらに、起きたトラブ ルをできるだけ隠そうとする。そこを何とか取材して書いてくれる記事というの は、もっとも読みごたえがあった。反面教師として利用すれば、これくらい勉強 になる記事はない。
連載では、実名で載っていたが、残念ながら本書では伏せられている。そのため、 迫力が激減していることは否めない。いろいろ問題はあろうが、実名で出して欲 しかった。読めば、どこの会社かすぐに分かるものもあった。実名で出して欲し いという勇気のある会社は居なかったのか、それはちょっと気になる。
ここに書かれている失敗について、今日も同様のことが、コンピュータ利用が 進んだ分だけさらに大規模に行われていることは間違いない。トラブルは、隠せ ば隠すほどさらに発酵が進んで、もっと深刻なトラブルに結び付く。そういうこ とを、この本のレベルではなく、もっと一般の人々用にきっちり啓蒙できるよう な本が望まれる。
2003年1月18日