洋書独書記録

CHRIS McMANUS


書名 The Google Story
Inside the Hottest Business, Media and Technology Success of Our Time
著者David A. Vise
初出2005 by Bantam Dell Publishing Group, a division of Random House, Inc., New York
発行2005、英国、by Macmillan, an imprint of Pan Macmillan Ltd
頁数326ページ
定価U.K. £ 14.99
ISBN1-4050-5371-2

本書は、このところ世界中の話題をさらっていると言ってもよいかと思う Googleについて、その生い立ちから、上場、そして今後目指しているものまでを カバーしている本である。 日本語でも、Googleに関する話はあちこちに出ているので読めるわけだが、 しっかりとした本で、全体像をきちんと書いている和書は残念ながらまだ見たことがない。

本書は洋書ではあるものの、去年の終りころから大手書店では平積みになるほどの本であり、 そのうち読もうかなとは思っていたのだが、300ページもあり、 文章が詰った本であり、ビジネス的視点から書かれた本ということで、 とても読むことは無理だろうと諦めていた。

しかし、やっぱり気になって、今年になってから入手し、読み始めた。 英語は、易しくもなく、難しくもない程度で、読み始めてからちょっと安心した。 もちろん、Googleに関する話だから、ある程度の知的バックグラウンドがあるので、 色々な話が出て来ても何となく理解できてしまうという面もあってか、読み終えることができた。

普通は、面倒なので、読んでも読み飛ばすだけで何も記録しないのだが、 本書に限っては、若干ではあるものの、マーカーで印をつけたりした。 そのうちのいくつかのフレーズを紹介しておこう。

こういう感じで並べてしまうと、自分に都合の良い言葉ばかり選んでいるようで、 気が引けてしまうので、このあたりでやめておこう。 すばらしい言葉だが、これを日本で実行するのは甚だ困難かと思う。

ところで、Googleのホームページは非常にシンプルなデザインで、 Googleのロゴがトップにあって、それにイタズラ書きがされていて、 ちゃめっけを出している訳だが、あれを "the Google doodle" というらしい。 doodleというのは、イタズラ書きのことである。

Googleは、誰でも無料で使えるようになっていて、何も気にせずに使っている人が 何億人もいる訳である。でも、これが大変なビジネスになっている訳である。 無料でサービスしているからこそ最高の収益を上げられる理由が挙げられている。 テレビ放送は無料であるが、巨大なビジネスになっている訳だ。 人々がインターネット上で膨大な時間を使うようになったのだから、 そこに大きなビジネス、それも、テレビ放送と同じ広告ビジネスが存在するとの論理である。 実際、そのようにして、巨大なビジネスになってしまった訳である。

「無料だからこそ巨大ビジネスである」というのは注目すべきであろう。 世の中の幾どの人々、企業は、必死で課金することで儲けようとするが、 その反対こそ巨大な利益を生むことがある訳だ。 本書は、ビジネス的思考においても、めざめさせてくれるものがある。

Googleは、2004年の8月19日にNASDAQに上場した訳だが、 その後も株価は上昇し、本書によると最近は時価総額がマイクロソフトの1/3にまで 達しているそうだ。 もうそんなになったのかと思って調べなおしたら、1/3ではなく、1/2くらいになっているようだ。 恐しいペースで成長しているようだ。 この調子だと、マイクロソフトを抜くなど、 Googleにとっては当然過ぎることになっているのかも知れない。

あと、面白かったところを挙げるとすれば、マイクロソフトとの戦いであろうか。 裏でこそこそ戦ったり、法廷に持ちこんだりいろいろするであろうが、 Googleは、わざわざマイクロソフトの本拠地にオフィスを開いたり、 マイクロソフトへの技術者供給源であるワシントン大学でGoogleのビジネスのやり方を 講演したりと、やることが思いっきり正面からずかずかとやってしまうのである。

2004年の8月19日にNASDAQに上場した訳だが、 上場の直前は大人しくして、審査に引掛らないように注意するものだが、 そういうことは全然意にも介していないというか、 わざと波風を立てているようなところがある。 上場にあたって、詳細な書類を提出する訳だが、 その中の人名を全部ファーストネームで書いたようだ。 SEC(Securities and Exchange Commission,証券取引委員会)から、 そんなことは前代未聞だとの批判を受けるが、押し通してしまった。

これだけならたいしたことはないのだが、 上場の直前は様々な規制があり、この情報開示制限期間のことを the quiet period というらしいのだが、その期間に、Playboys誌に、インタビュー記事が掲載されるのである。 インタビュー自体は何ヶ月も前に行なわれていて、Playboys誌がより多く雑誌が売れるようにと この時機を選んで出したというのかもしれない。 これも問題にはなっても、結局は上場はできちゃったのである。

Googleは、シリコンバレーを代表するStanford大学から飛びだした2名で作った 会社だが、大学の時に居た建物が、なんとビルゲイツが大学に寄贈した建物で、 そこでマイクロソフトの強敵が育ったというのは皮肉なものである。

William Gates Computer Science Building(Google Images)

ところで、こんな著名な本なのに、なぜか翻訳が出て来ない。 出版と同時に翻訳権をどこかの出版社が取ったに違いないと予想していたのだが、 どうもそうではないらしいことを出版関係者を通して確認した。 あまりにも有名な本だから、すでに翻訳権はどこかに取られていると思って、 誰も翻訳権を取ろうとしなかったのかも知れない。 まれにこういう事もある。

最後に、誤植を指摘しておかねばならない。 Googleというのは、Googolの綴り間違いである。 詳しくは、 グーゴル(Wikipedia)を参照されたい。 まあ、google.com を取っちゃった後に気が付いたのだが、 そのまま行くところがGoogleらしい適度にいい加減なところだ。 現実は、いい加減な奴等が勝つのだ!

2006年5月7日
ということだったのだが、実は翻訳が出てしまった。ん、調べそこねたかな。 イーストプレスというところで、『Google誕生』という題名になっていた。 イーストプレスのホームページ 2006年6月2日
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