洋書独書記録

David Foster Wallace


書名 everything and more - a compact history of ∞
著者David Foster Wallace
初出2003、英国、Weidenfeld & Nicolson
発行2005、Phoenix, an imprint of Orion Books Ltd
頁数344ページ
定価U.K. £ 8.99
ISBN0-75381-882-5

本書は、裏表紙に

There aren't many books about mathematics that will have you laughing out loud, but this is one of them.
とあったので、この本は数学、それも無限について書いているのに笑わせてくれるのか、 と思い込んでしまい、それなら読んでみても良いかなというとんでもない誤解から 読み始めたのであった。

副題にもあるように、無限に関する本である。レベルは、専門書ではなく、 あくまでもポピュラーサイエンスである。 だから、私にも分るかも知れない。せいぜい、ブルーバックスレベルであろうと 勝手に判断した。

無限に関する話が、だいたい歴史の順序を追いながら進んでいくのであった。 最初の方は、私でもわかる非常に単純な話で、整数が無限にあるとか、 一定の長さを無限回分割すると、無限に短い無限個数の区間ができるとか、 そういう話である。

整数が無限なら、有理数は無限か。同じ無限でも、どのくらい違うのかというのがでてきて、 最終的には、整数と有理数は1対1対応が成り立つので、同じだけの数があるとなる。 (どうしてそうなるのかは、面倒なので、ここでは説明しない)

さらに、無理数が登場し、では無理数の個数は、有理数の個数より多いのかどうかとか、 という風に話が進む。無理数は、有理数を2つに分けることによって定義できるとかの 話もでてくる。

このあたりまではどこでもある話である。話をややこしくするために、 全てを含む集合Sは、集合Sの要素であるかどうかという話が出てくる。 全てを含む集合Sというんだから、 当然そうやってできたS自身も含まないとおかしいではないか。 でも、含むことにしてしまうと、 S自身を含んだSという集合自身がまた集合Sの要素でなければならない。 これが、延々と繰り返されて、頭は混乱していく。

最後の方は、巾集合、カーディナル数、連続体仮説と進んでいき、 幾何学でユークリッドの平行線の公準は無くても矛盾しない幾何学、 非ユークリッド幾何学が存在するように、連続体仮説は正しいかどうかを証明 するものではなく、それを正しいとする公理系と、正しくないとする公理系が ともに矛盾無く成立するってことでだいたい本書は終る。

ただし、この本、最初の方はずいぶんゆっくり話が進んでいるのだが、最後の方は、 20世紀初等のあたりから説明が猛烈に省略されて結論だけになったりして、 読んでいても良く分からなくなってしまうのであった。 もちろん、20世紀以降の、このあたりの話はややこしいので、 読んでも理解できない自信はあるのだが。

また、多くの懐かしい歴史上の数学者の名前が随分でてきた。 ただし、同じ数学の中でも、「無限とはなんぞや?」 というような何の成果も上げられない哲学的なこと、形而上学に凝る数学者の多くは、 精神的におかしくなってしまった人がいかに多いかの説明がかなり早い段階で説明され、 出てきた数学者もかなり精神病に悩まされたことの説明がくり返されていた。

太古の昔、大学とかいうところで、解析概論なる授業で、本書に書かれていることを だいたい習ったかもしれないという記憶が微かに残っていて、そのおかげもあって、 何とか読み終えることができた。

最後まで読んでも分からなかったことは、どこが笑い転げてしまう程面白い話なのか、 さっぱり分からなかったのが残念である。数学的素養の無さも原因しているかもしれないが、 やはり英語力の不足があるのかと思っている次第である。

2006年1月13日
洋書独書記録