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開院準備  ■教育


今まで、コンピュータ教育、とくにソフトウェア教育というと、プログラミ ング言語などを覚えて、与えられた仕事をこなすことだと思われていました。 そして、実際の仕事についてプログラムを組み始めたら、プログラミングの品 質管理などについて社内研修があったりします。プログラムの品質向上は今ま で数え切れないほど話題にされ、各種の技法が紹介され実用に供されました。 また、最近の開発ツールはいろいろな開発支援をしてくれることも事実です。

しかし、やはりどんな道具を使おうと、下手なプログラマのプログラムは下 手なのです。フローチャートや、その他の設計方法でしっかり設計しても、形 式だけでは結局だめなのです。プログラムを組むためには、プログラミング言 語を理解していなければなりません。でも、これは文法を理解しただけに過ぎ ません。これでは日本の英語教育の欠陥とまったく同じです。日本語が使える のは、幼いころ、自分の周囲で日本語を話すのを聞いているうちに自然に身に つけたものでしょう。誤ったことを言えば、何度も何度も直してくれた人がい たはずです。

コンピュータ教育も他の分野と同じで、基礎的なことは本から、あるいは講 義などで知識を得ることは必要です。しかし、その知識を運用して、やりたい ことをやれるように育てることが教育の本質です。それには、どこで誤りを犯 すかを指摘し、正しいやり方を教え、使いこなせるようにしなければなりませ ん。それも、正しい方法そのものを「公式」の形で示すだけではなく、その 「公式」を使えば良い理由を教えなければなりません。重要なのは公式ではな く、理由の方なのですが、今の学校教育の弊害なのか、「公式の丸暗記」だけ をしようとする人がいます。学校教育では、最も単純な生徒の能力判定として、 今も暗記力を問うテストが多く行なわれています。

仕事では、記憶は学校教育ほど重要ではありません。不確かな記憶に頼るぐ らいなら、メモを取るなり、資料や本を見たり、オンラインヘルプを見て正確 を期せば良いのです。不確実な記憶に頼って間違えたら罵倒されるに決まって います。無理をして覚える必要は全然ありません。それより、どこにどんな情 報があるかを、どうやったら調べられるかを知っていることが重要なのです。

コンピュータの世界では、情報はどんどん古くなってしまいます。全ての情 報はナマモノ、生鮮食料品みたいなものです。学校で習った知識や技術がいつ までも通用する世界ではありません。それどころか、たとえ最新の技術教育を 受けたにしろ、卒業した時点ですでに古くなっています。学校で習った知識で 一生食べていけるなんてことは有り得ません。私がコンピュータを始めたころ の知識で役に立っているものはほとんど有りません。当時は役に立ったのです が、もう使っていたコンピュータも廃棄処分になっています。このように変化 の激しいコンピュータの世界で生き抜くためには、記憶に頼るようなことはや めた方が無難です。

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