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開院準備  ■ネットワーク


コンピュータの世界でネットワークと言うと当然LANのことを考えますよ ね。でも、違うのです。ここで言いたいのは、コンピュータを使っていく上で 助けてくれる「お助けネットワーク」のことです。

コンピュータは非常に性能が上がり、その利用法も複雑多岐に渡っています。 たとえどんなに優秀なコンピュータ技術者でも、その全容を理解し利用してい る人などいません。各自が、自分にとって必要な部分を理解し、使っているに 過ぎません。

このようなコンピュータについて、誰にも未知の分野がいっぱいあるのは当 然です。新しいことに応用してみようとか、新製品とかについては未知なのは 当り前です。でも、どこからか情報を仕入れて使っています。製品を買えば説 明書はついてきます。それで一通りの使い方はできるようになるものですが、 さて、自分のやりたいことはどうやったら実現できるのかという一番大切なこ とには答えてくれないものです。もしかすると、自分がわざわざプログラムを 作ろうとしていることはすでに誰かが実現しているかも知れないのです。

特定のメーカの製品だけでコンピュータシステムを組んでおけば、それらの 組合わせで不都合が起きれば、そのメーカに問い合わせれば何とかなるでしょ う。でも、それぞれに適した製品を購入すると、たいていの場合メーカがバラ バラになります。複数のメーカの製品を組み合わせて使う場合、相性の問題が 良く発生します。規格ぎりぎりで作っているメーカがあるかと思えば、十分な ゆとりを持って作っているメーカもあり、トラブルになることは良くあります。 さらに、メーカが推奨していない安い製品を利用したいこともあるでしょうが、 そのときの信頼度はどうなのかなど知りたいでしょう。

コンピュータの導入時には知りたい情報はいっぱいあるはずです。ディーラー を呼んで資料を請求すれば持ってきてくれますが、十分な資料、知りたい情報 はなかなか手に入らないものです。できることなら、実際に使っている人の使 用感でも聞ければ最高ですよね。プログラムについても、個人、あるいはソフ トハウス、企業の一部署程度では、なかなか情報が集まらないものです。適当 な指導者も見つけにくいものです。

では、どうすればそのような情報を提供してくれる人々と知り合いになり、 指導してもらったり、情報を交換するのでしょうか。

答えは簡単なんです。待っていても、ダメなんです。もちろん、金を払って 指導を受けたり、情報を買う方法もあります。しかし、これではまだ受け身に しか過ぎません。自分の疑問点を持って、あちこちに自ら飛び込んでみるしか ありません。失敗をするでしょうが、失敗に懲りずにあちこちに顔を出してみ ることでしょう。顔の広さと、情報の集まり方はだいたい比例するものです。 上達しようと望めばそういう連中のいる集まりの存在を耳にするようになり、 自然と顔を出すようになるものです。

コンピュータと言うと、世間では、人と口を聞かず、ただひたすらコンピュー タに向かってキーを打ち続けている人間のようなイメージがまだあります。人 付き合いが悪くても、コンピュータの仕事なら構わないように誤解されていま す。私なんか、ディスプレイに向かっていても、実際にプログラムを作成して いる時間は非常に少なくなりました。多くの時間は、原稿を書いたり、仕事の 連絡のための文書を作ったり、電子メールを読んで返事をしたり、電子ニュー スの海の中を漂っています。色々な情報を提供し、提供されて日々暮らしてい ます。

色々なソフトハウスを見てきましたが、だいたいレベルの差は、各社の技術 者の人的ネットワークの質とサイズに比例するようです。レベルが低いところ ほど、外部と交流することを拒否する傾向があります。個人、あるいは小さい グループだけでやっていたのでは、相当の強者でもいない限りハイレベルを保 つことは無理でしょう。



Copyright1996 Hirofumi Fujiwara. No reproduction or republication without written permission
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