『Cプログラミング診断室』目次次(第4章 キャストが好き はじめに)

第3章 上司が問題

おわりに


なかなかすごいプログラムでした。採点結果は見事な落第で、「プログラム再提出」というとこ ろですね。

下手なプログラムに共通しているのは、プログラムから「努力」がにじみ出ていることです。で も、バグもにじみ出て来そうで、恐いものがあります。

C言語と数学は無関係です。数学の知識などとくに必要はありません。科学技術計算などを除い て、数学とコンピュータにはあまり関連はありません。コンピュータを扱うために数学の知識が必 要と考えるようでは、全くコンピュータを理解していないのでしょう。

また、C言語だから問題があるように思っているようですが、問題はC言語以前のものばかりで す。BASICで書いても、上手な人はもっときれいに書くものです。

プログラムよりも、このようなプログラムが開発されてしまう環境の方に問題がありそうです。 新人に、単に仕事を与えるだけではなく、いかに教育するかが重大で、会社の将来を左右します。

下手であれば「下手」と指摘することが本人のためでもあるし、会社のためでもあります。「下 手」というだけでなく、下手な「理由」も教えなければいけません。プログラムを作らせるだけで はなく、自分の作ったプログラムについて発表させることも有意義でしょう。本代など、新人教育 費から考えると安いものです。本屋でいっぱい買ってきて、新人の机上に積んであげるものです。

また、外へ連れ出す必要もあるでしょう。コンピュータショー、各社の新製品発表会、それに、 研修会、講演会、その他、さまざまな機会が考えられるでしょう。他社の技術者との交流は特に重 要です。とにかく、対外経験を積ませる環境作りの必要性が強く感じられます。

また、本人が行動を起こすのをじっと待っていてはいけません。強制的にでも、そういう渦中に 放り込む必要があります。優秀なソフトハウスに、お金を払ってでも、長期研修に行かせるくらい の気持ちが必要です。こういうレベルの人をプログラマと称して人材派遣し、金をせしめている会 社もありますが、言語道断です。優秀なソフトハウスではどのようにしてプログラム開発している か、現場で1、2年修行させるくらいの意気込みが必要です。

プログラマのレベル差はどのくらいと思いますか。他の職業ですと、数倍の差があればすごいと いうでしょう。でも、プログラマの世界はそんな甘いものではありません。優秀な連中の話は、下 手な連中にはまるで理解できないでしょう。また、彼らが仕事の合い間に作っているような小さな 遊びのプログラムでさえ、下手な人には何年かかっても作れないものです。能力差は、しいていえ ば、100倍くらいはあるでしょうか。この差は、年数や忍耐力では絶対にカバーは不可能で、学習 によってのみ可能です。努力をするなら、プログラムを作る(延々とデバッグする)努力より、学習 努力の方が報われます。

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