拝啓
今回は,ご丁寧にもご案内いただきありがとうございました.早速ではござ
いますが,私どもの職場の新人に貴殿のご案内を紹介しましたところ,ソース
の応募がありましたので,お送りいたします. ご高配のほど,よろしくお
願い申し上げます.
拙文ではございますが,以下は「Cプログラミング診断室」に関しての私の
所感でございます.
1.Cプログラミングのマスター
世間一般(コンピュータのプログラミングに関っている人々)では,どのよ
うな状況からCプログラミングとの出会いがはじまるのでしょうか.やはり,
コンピュータ科学の研究に携わる人々を中心に,パソコンBASICが流行ったよ
うに,ホビー指向でパソコンを操る人々が,Cプログラミングのユーザーのよ
うに思われます.
Cプログラミングについてのコンピュータ関連の書籍は,初心者向けの内容
が中心で(ほとんどが小さなソースで完結した例題を中心としており,BASIC
などの経験がないと,自分のプログラムとして取り入れて応用することは無理
だと思います),結局,情報や新技法などはほとんど雑誌記事から得るという
のが現状です.ですから,C言語のマスターについては,COBOL あるいは
FORTRAN のように,[教科書と授業]の形式が取れず,ソフトウェアハウスで
はプログラマーの教育が大変なネックになっています.
2.素人をCプログラマーにする
新卒入社希望者から送られてくる履歴書に,[C言語経験あり]の記述があ
れば最高なのですが,だいたいは[パソコン経験あり]で言語はマルチプラン
であったりします.[未完の大器]は,[研磨工程]からではなく,[粗削り
工程]からのスタートです.[未完の大器]の中には,いきなり「ワタシ,数
学がいちばん苦手だったのですよね.」とのたまい,「面接のときに,それを
言ったの?」などとやさしく話しかけつつも,めまいさえ覚えてしまいます.
この子らに,Cを覚えさせるのか...
3.Cを教えるとどんな子に育つのか
パソコンの経験のない子を先輩につけておくと,先輩も楽をしたいので自分
のソースを渡して改造を命じたりします.そんなことを繰り返すうちに,いつ
のまにやら1年ほどでプログラムを作れるようになります.ところが,この方
法には,大きな落し穴がありました.知識の取得を,先輩など社内に頼ってし
まい,自分から書店の[コンピュータ関連書籍]コーナーなどに出かけて,調
べようとしないのです.こういう子たちに,プログラムを作らせるときは,1
から10まで説明して(説明している間に自分で作ったほうがマシだと思ってし
まいます)やらなければなりません.枠からはみ出そうとしない子どもたち,
誰がこの子たちをこうしたのだろう.こんな悩みも,あまり通じないのがこの
子たちの特徴です.
4.マンガついでに[コンピュータ関連書籍]コーナーに足が向くようになって
ほしい.
今回お送りしたソースのプログラマーは,入社してからはじめてコンピュー
タをさわったという,まったくの未経験者でした.本人の努力もあって,2年
後の現在では,「気合い」でやりぬく努力型のプログラマーとなりましたが,
本人は,「キューハチ」といわれても,なんのことかわかりません.(当社で
は,PANACOM-Mというマイナー機種が主力です).これでは井の中の蛙になっ
てしまう危険があります.マンガついでに[コンピュータ関連書籍]コーナー
に足が向くようになってほしいものです.
本人が,「社内で役立ててほしい」の一心ではじめて作ったユーティリティ
を社外に出すことによって,本人のよい刺激になればと思い,今回投稿させて
いただきました.いつもなら,「ユーティリティとはこうあるべきだ」などと
本人に注文をつけるのですが,今回はノーコメントにしております.なお,こ
の作成に2週間程度かかっているようです.本人も実名可ですので,よろしく
お願いいたします.
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