開発現場では、「下手!」くらいは良い方で、目が点になってしまうようなプログラムに出会う ことがありますが、これらについて、「文句を書く」ことは今まで誰もしなかったと思います。な にしろ、これは暗黙のタブーです。でも、これこそが実践教育、オンザジョブトレーニングです。 読者の声には、その辺りへの期待が多く、この企画は外れていなかったと確信でき、胸をなで下ろ しています。
さて、SoftwareDesign誌の LETTERS FROM READERS のなかで、「どこを見回してもフローチャー トを使っていて、それ以外の方法で設計している者は誰もいません」というのがありました。以前、 確かに「フローチャートなんか止めてしまえ」と書きました。そして、他の設計法についての勉強 を勧めました。
私の周囲にはフローチャートを使っている人は、ずーっと前から皆無ですが、たぶん世の中の大 部分では未だフローチャートが全盛だと思います。どんな設計方法があるかは、大型書店でその手 の本を探せば簡単に見つかるでしょう。問題は、読んで理解し、実践することです。実践には、既 にその技法を使い込んでいる人が周囲にいると良いのですが、そうでない場合には挫折することが 多いようです。でも、たとえ実践までたどり着かなくても、とりあえず斜め読みでもしてください。 それもダメなら、本だけ買ってきて、「この本は読むべきなんだ」と思いつつ本文は読まず、絵の 部分だけでも良いから、気楽にながめてください。この程度でも、後で結構役立つことがあります。
コンピュータ業界では、10年以上前に、「フローチャート廃止論」が横行し、多くの技法が先 端的研究開発部門などで試されました。しかし、決定打といえる技法は誰も未だに見つけていませ ん。ただ、フローチャートはきわめて問題を起こしやすいので、「使用禁止」ということでは意見 はまとまりました。しかし、多くの技術者は、この議論から落ちこぼれてしまいました。専門学校 などでも、今だにフローチャートを教えているようですが、原因は、通産省の情報処理技術者試験 に、まだフローチャートがあるからでしょうか?通産省の研究所ではもう使っていないようで、本 当に矛盾していますよね。確実に言えることは、フローチャートを未だに使用しているところは優 秀ではないということです。
もし私のこの輪が今より遥かに小さかったら、私は下級コンピュータ技術者か、自分の無能さに 打ちひしがれ引退していたことでしょう。