XViewについてのプログラムだったので、細部の説明を省略してしまいましたので、ウィンドシ ステムに慣れていない方には、きちんと理解するのは難しかったかと思います。でも、どこが「す ごい」かは理解していただけたでしょう。
今回のプログラムはなかなかの逸品だったでしょう。どうしたらこのようなプログラムが書ける のかはプログラミング精神医学的見地からぜひ究明すべき研究テーマといえるでしょう。このよう なプログラムに感染してしまうと、治療に大変な期間と費用がかかってしまいます。そのままにし ていても、しばらくの間は生命は持つでしょうが、近いうちに寿命がくるのは明らかです。寿命を 伸ばすためには、病院の集中治療室に入るのと同じで、治療費がいっぱいかかり、老人保険が効か ないと支払不能になるくらいの請求書がきて親族会議を開いて費用負担を考えないといけないのと 同様な羽目になります。
では、今回のプログラムを仕事仲間に見せたときの反響をお教えしましょう。一目見るなり「ス ゲー」と言って、見入ってしまいました。もう目が点【・_・】になっていました。
とてもアルコール抜きでこのようなプログラムを鑑賞できないといって日本酒を飲み始めた者も いました。気持ち分かりますよね。
リスト9−8のプログラムを始めから組んでしまうと、デバッグなどが大変だから、まずちゃん とforなどを使って短く作り、納品のときに展開ツール(水増しツール)でできるだけ長くなるよ うに操作したのではないかと言う者もいました。きっとすごく賢いツールを持っているんだって。
これだけプログラムが水増しされているのだから、きっと行数で支払ってもらえるのでしょう。 そういえば、その昔、某大手電機メーカの研究所から超LSI関係のプログラムを受注し、途中で納 期がきたとき、研究所の経理部の隣室に破棄してあったプリントアウトの分厚くてプログラムらし いのを綴じて経理部の検査に出したことがありました。「えっ、こんなことしていいの?」と思っ たのですが、研究所の研究員が「それでいいのだ」というのでそうしてしまいました。見事、経理 部の検査には一発でパスし、お金はもらいました。もちろん、最終的にはちゃんと動作するプログ ラムを納品しました。
今だに、「行いくら」で考える人が多いのでしょうか。最も測定しやすい指標ですが、こんなの で技術者の組んだプログラムが評価されたらたまりません。今では、土方でも体力だけでは勤まら ない時代です。土木用の超大型ダンプだってオートマ車になっていて、かわいい女の子にも楽々運 転できるのです。「力」ではなく「技術」を評価して欲しいですね。特に、全然コーディングしな いという「ハイテク技術」を高く評価して欲しいですね。
■参考文献■
[9-1] Xウィンドマニュアル第7巻、「XViewプログラミング・マニュアル」、Dan Heller著、日本 語版、ソフトバンク