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お堅い企業


企業たるもの、ホームページくらいはちゃんと用意 しておかなければインターネットについていけない駄目企業と見なされるよう な風潮があり、このところ、名の知れた大手企業はホームページを用意したよ うだ。

ホームページへ行くと、まず目につくのが会社案内である。どこの企業も会社案内を見 て欲しいらしいが、就職を考えているとか、取引先の調査でもしているのでなければそれ ほど興味を持たないと思うのだが、今は日本人すべてがビジネスに燃えていて、企業情報 を集めまくっているのだろうか。

社概要は確かに必要だが、社長、会長の やたらに大きな顔写真があって、そのイメージの受 信に非常に時間がかかってしまうのは困る。まだまだ大きなイメージを楽に送 れる程インターネットの通信網は良くない。イメージだけでも受け取るのに時 間がかかるのに、堂々と巨大な社長インタビューなんてファイルが置いている ところがある。例えばNTTがそうである。

確かに、NTTはインターネットで大量のデータを送ってくれれば自然に儲かるのであ るが、それにしても巨大すぎる。送るのに何分もかかるようなデータを置く意味がどこに あるのであろうか。

どこの企業だったか、役員の顔写真を、階級別にサイズも変えて ピラミッド状に配置していたのを見たことがある。 超大手企業で役員も数十名もいるところで、全部を表示するのに大変な時間が かかった。私はどんなものかを確認したかったので待ったが、普通なら途中で 中止してしまうであろう。

社全体の組織図が用意されているところも多い。そ れもイメージで用意されているところが多く、大企業の場合には、各部署の名 前さえ読み取れないような細かい文字がよく使われている。確かに印刷した企 業パンフレットでは細かい字が使われているが、画面上で読む場合には、そん なことをしたら全然見えない。実際に画面に表示され たものを見たことがないのではと思われる場合も珍しくない。

れいな立体的なグラフで売上の推移などで成長を示 しているのもよくあるが、実は見にくく、数値が読み取れなくて 全く意味をなしていないのが多い。ただの数値の表 にするとか、簡単な折れ線グラフで示してくれた方が良い。

財務諸表とかの表を公表している企業もあって、それはそれで便利であろうが、文字デー タとして存在するのではなく、イメージとしてしか存在しないのも多い。これでは、画面 で見ることしかできず、そこに現れている数値をデータとしてワープロなどに取り入れる ことができないのは応用が全然できないので困ったものである。

して、新製品情報、採用情報、そしてインターネッ トによる注文など、何とか商売にならないか、すぐ営業に結びつけようとしす ぎているのが多く、うんざりする。

そんな直接的なことよりも、会社の仕事の裏話とか、関連情報を載せて欲し いものである。企業のホームページを見て最初に感じることは、だれしも、 何て頭が硬いのであろうか、という印象ではなかろう か。ユーザの見たいページを多数用意しておき、それらを日頃読んでいるうち に、次第に自社にとって利益になるように企むのが正しい営業戦略だと思うが、 短絡的すぎるのが多い。

さすがにインターネットにホームページを開設して数ヶ月もたつとそういう ことが分かってくるらしく、変更する企業はあるようだ。

て、企業の場合、何といっても人々の注目を集める ことが重要である。人のいないところ、どんな商売も成立しない。そのため、 せめてトップページ、つまり表紙を工夫するようになった。新しい表示技術を 駆使して注目を集めようと苦心しているようであるが、なかなか失敗作がたく さんあって、その失敗を眺めていると、各社のインターネットに対する姿勢や 技術レベルも見えてきて、なかなか楽しいものがある。

某一部上場企業のコンピュータ部門の人と飲み屋で話し込んだことがあるが、
「どうせ 社長たちが気に入るページを用意しただけ だからしょうがない」
と言っていたが、そうなんだろう。企業のホームページは、社外の人が見るためではな く、その企業の役員を満足させるために作ったようなものが本当に多い。役員はそれで満 足かも知れないが、そんな馬鹿なことをしていると、 「弊社は石頭です」 と叫んでいるのと変わりない。

て、大企業ともなると、さぞやコンピュータもき ちんと整備して、きちんと使いこなしていると思うであろう。大企業には情報 処理部門がきちんとあり、全社のコンピュータネットとワークを管理している ことになっている。

の管理状態は、昔は部外者には見えなかった。し かし、インターネットに接続されるようになって、部外者にもいろいろな切口 で見えるようになってしまった。インターネットを利用するということは、と りもなおさず外部のコンピュータと情報交換を行なうことであり、もはや10 0%隠してしまうことは不可能になってしまった。

私のホームページを見に来た大企業が、どのような情報を取っていったかを 分析するだけでも、相手のコンピュータの管理状況が分かってくる。世間では 新しいインターネット用のソフトウェアについて騒がれているが、 大企業は意外と整備が悪いようだ。私の最新情報の ページを見るには、新しいソフトウェアを用いて見なければならないが、古い ので見ているのが明らかな場合がよくある。

零細企業でインターネットをやっているところは必ず好き者がいて、最新の ソフトウェアをそろえているようである。企業の大きさで判断するくらい当て にならないことはない。

年くらい前までは、多くの大企業で、インターネッ トからの情報は取り込むが、社内からは1通の電子メールのすら出せないとこ ろがたくさんあった。企業秘密のために、情報の流入 は自由だが、発信は一切禁止、あるいは発信の度に上司のチェックを受けるこ となどが一般的であった。

そういう企業に就職している仲間に連絡をとるとき、仲間全員に電子メール で一斉に情報を送る。すると、自由に電子メールを使える仲間は電子メールで 返事をしてくるが、そういう隔離された会社にいる仲間は、たいてい電話で返 事をしてくる。

そして、こういうことに厳しいのは、大企業に非常に多かった。もう、面倒 で面倒で、こんな時代遅れの会社の相手なんて何でし なければならないのだと思うような状態であった。

しかし、インターネットが普及し、電子メールのアドレスを名刺に入れるの がかなり一般的になってきたので、そういう監視、あるいは検閲行為はやっと 減ってきた。

も、コンピュータ関連企業、つまりコンピュータ・ メーカー、ソフトハウス、コンピュータ関連諸団体などはインターネット対応 をきちんとしていると思うであろうが、決してそんなに信用してはならない。 インターネットがらみのショーを主催したり、協賛したりしている協会ですら、 過半数はろくにコンピュータも使えないし、電子メールで連絡をとるなど未だ にできない。

なんとかやっているのは、メーカーとごく一部のソフトハウスに、若干の業 界団体だけである。さすが規模が大きくなればそれなりにはやっているが、中 堅以下のソフトハウスは落ちこぼれの方が多い。メーカーの人間だって、電子 メールで連絡しようといっても、電子メールは使えないから電話とかファック スで連絡をくれなんて馬鹿なことを言う連中が未だに 後を絶たない。

コンピュータ関係の会社でも、ホームページという簡単な作業すらできず、 途中で投げ出しているところが随分ある。こんなこともできなくて、まったく 恥ではないかと思う。今までは、下手なソフトウェアを開発しても、プログラ ムを隠すことができたが、ホームページでは全部が見えてしまう。 有能か馬鹿かが分かってしまう。それなのに、中高 生が遊びでやっている程度もできないところが多い。もう潰れた方がいい会社 かもしれない。

以前、コンピュータ関連団体の一つで、連絡とか、懸案事項の協議もインター ネット上でやろうと私が電子メールを流したが、ごく一部の会員から賛同があっ た程度であった。インターネットのことを議論するのに、インターネットを利 用できないのが、現実のコンピュータ関連企業の一般的水準である。個人は、 出来る人はどんどん先へ進んでいるが、コンピュータをやっている企業が、実 はできない。そして、できる人間の足を必死で引っ張って、一緒に仲良く落ち こぼれようとしている。

もう、ばかばかしくてこれ以上批判する気にもなれ ないので、終りにする。


Copyright1996 Hirofumi Fujiwara. No reproduction or republication without written permission
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