目次

能力レベルの展示場


ンターネットでは、世界中のコンピュータが互いに 繋がっていて、自由に相手の会社の用意した文字や絵が並んだ情報を見ること ができる。多くはパンフレットのようなものであるが、コンピュータを十分理 解できる人が、送られて来たデータを見れば相手の能力レベルが分かる。今は 絵の美しさとか、かっこ良さとかに皆が走っているが、そういうことばかりに 気をとられているところが多く、自分の作ったデータの誤りに 気がついていないのが多く見られる。

今までの紙による広告は、読者が紙の上に印刷されたものを読み取るだけで あるが、インターネットの場合、文章や絵を表示するためのデータが全部相手 側のコンピュータに送られて表示される。相手はボタンを押すだけで、どのよ うにデータを用意したかを簡単に見ることができる。

このデータは、マークアップ言語といって、文字や絵の画面表示を制御する ドキュメント作成のための簡単なコンピュータ用の言語である。今までは、ワー プロにしろ、ドキュメント作成言語にしろ、その結果をプリンタに出力し、コ ピーや印刷して相手に提示する。しかし、インターネットでウェッブによるド キュメントの公開では、途中に紙という媒体を使わず、通信でデータを送って しまい、相手の画面に表示される。いちいち、こちらでコピーを取らなくても、 相手が欲しいときに、欲しいページを探して取り出してくれるので、手間もか からず便利なことこの上ない。

のように、情報提供用に使うには非常に便利である が、ひとたび誤ったデータを作成してしまうと、誤りも相手側に 瞬時に伝わる。自分では正しくデータを作ったと思っ ていても誤っていることは良くある。今でも多くのデータ作成者達は、せいぜ い自分の手元にあるコンピュータで確認する程度が多いが、世の中には非常に たくさんの人々が、さまざまな種類のコンピュータを使って見にくる。

私の使っているコンピュータでは動かない、あるいは表示が変になってしま うことは良くある。そういうとき原因を調べるために、相手のコンピュータか ら送られて来たデータを見ると、たいてい簡単なミスを犯している。さらに、 変になった箇所以外にも誤りの見つかることがよく ある。ネットスケープなどのブラウザでは、データが意味ごとに異なる色で表 示されるので、誤りは一目で分かる。それで、相手がどう誤解して勝手なデー タをでっちあげているかも手に取るように分かってしまう。

特に今は、少しでも目立ちたいため、奇抜なデザインの画面構成にしたがっ ているようであるが、きちんとした練習もしないでそんなことをすると 「馬鹿丸出し」になってしまう。私にとっては、ど ういうドジをしているかを調べるのは非常に重要な勉強でもあるし、どんな落 語や漫才よりも面白い出し物である。

楽しむだけではなく、誤りを研究することは、学習の基本であり、本を書い たり、教育するための情報収集に非常に役に立っているので、誤りを犯し、そ の誤りをインターネットを通して 全世界的に公開する人々に私は感謝している。

前、 『Cプログラミング診断室』という、 プログラムの誤りを集めて1冊の本を作った。このときには、誤りのあるプ ログラム、下手なプログラムを集めるのにたいそう苦労したが、ウェッブのデー タ作成エラーは簡単に集めることができる。

もう長いことコンピュータの世界で仕事をしているため、かなり多数の企業 とつきあってきて、どこの企業がどのくらいの技術レベルとか、企業の姿勢と いうのは大体分かるようになった。その知識と、各企業のホームページの出来 具合を比べてみると、どうも著しい相関があるようだ。逆に言えば、ホームペー ジの出来、特に誤り具合をみると、その企業のレベルが分かることになる。こ れは、企業の能力判断に相当使えそうである。少なくとも、コンピュータ関連 会社で、誤りだらけのホームページを公開していると、 お笑い草である

実は、状況はもっと酷くて、コンピュータ関係の出版社とかソフトウェア会 社と言われているところで、ホームページの公開を目指したのであるが、技術 力不足、人材不足で途中で挫折している個所をいくつも知っている。もう、ト ホホという以外ない。

ちろん、悪い例ばかりではない。 素晴らしい技術を持っていることを誇示することも簡単にできる。それも、 非常に小さな零細企業や個人でも、技術さえあれば、高度な技術を用い、だれ もが感心するようなデモンストレーションを行なうこともできる。

多くの大手企業が、就職希望者選択のためにインターネットを利用したよう だが、これからは取引先企業の選別にもインターネットを大いに利用すべきで あろう。インターネットの普及は、能力のある企業にとっては良い機会への遭 遇であり、能力のない企業にとっては選別され 捨て去られてしまう機会でもある。


Copyright1996 Hirofumi Fujiwara. No reproduction or republication without written permission
目次