目次次「気合いでやり抜く努力型」 English

井の中の蛙


今は情報が溢れている時代である。殊にコンピュータに関しては、雑誌も本 も氾濫しており、主要なものに目を通すだけでも大変だ。さらに、パソコン通 信だ、インターネットだといって誰でも自由に発表できる媒体までできた。本 や雑誌は、以前は紙に説明やプログラムを並べただけだったのが、フロッピー が付属するだけではなく、CDがついていたりする。CDの中には、膨大なデー タが入っており、じっくり眺めるなど、とてもできるものではない。

これだけ情報を簡単に入手できる時代だから、各プログラマが必要な技術情 報を入手し活用すると思うのが当然だが、実際はそういうのとは程遠い状態の ようだ。一部の先端的技術者は非常に情報収集に熱心である。でも、これは1 %以下の極めて例外的なプログラマ達に過ぎない。

雑誌などで記事を書いたりしているのは、この1%以下の極めて特異な技術 者集団であり、この集団を基準に判断してしまうと、現状を完全に見誤る。

私は、どうも本や雑誌に囲まれていないと安心できないところがある。だか ら、私を訪ねてきた人は、本の多さに驚くようである。本が高いといっても、 本に載っている情報を利用できれば、本ぐらい安い物はないと思うのだが。

必要な本があるのなら、どんどん本ぐらい買ってやればよい。
「必要な本は買ったから、仕事は大丈夫だよな」
と言ってどんどん買ってやれば良いのである。

世の中に、いかに酷いプログラマが多く、いかに危険なプログラムが開発さ れているかは上級プログラマには常識だ。しかし、どうして、こういうプログ ラマと呼ぶに値しないプログラマが存在しうるのかを理解しないといけない。 こういうプログラマが発生し、生存を続けられる環境が存在していることに重 大な問題がある。

下手なプログラマは、普通は自分が下手だと認識していない。自分の周囲の プログラマと比較して同等だと、まずまずプロ並の腕だと思い込む。世に溢れ ている情報に目を通せば、自分に不足の部分、やってはいけないことをやって いたことなどに気がつく筈だが、こういう輩は最初から情報を拒否し、自分ま たはグループの殻に閉じこもる。無競走で、全員平等の進歩のない世界に安住 しがちだ。

もはや、腕の悪いプログラマに期待できることは何もない。後は、プログラ マを監視している上司が頼みの綱である。だが、どうも上司にどうしようもな いのが多い。腕の悪いプログラマでも、腕の良いプログラマの間に入れておく と、徐々に腕を上げていくものだが、腕を上げることに対しての投資はなかな かしないものだ。

腕の悪いまま使っても、どうせろくなプログラムは作れない。なんとかして、 プログラマ集団の腕を磨く努力をしてもらいたいものだ。

そもそも、腕の良いプログラマは能無しの上司の所にはいつまでもいない。 能無しの上司の下には、腕の悪いプログラマが集まることになっている。

昔いた会社で、相手の仕事を手伝うと、そのレベルに応じて、缶ジュース、 ラーメンから、上はステーキまでをおごることになっていた。仕事をしている うちに、おごる者とおごられる者とがはっきり分かれてくる。レベル差は、はっ きりあるので仕方がない。

先輩が、確か計測器関係のプログラムを作っていた。その中で、若干の技術 計算を行なわなければならなくなったが、その作成方法が分からないという。 その部分ができないと納品できず、会社が困り、担当でない私にもとばっちり がくる。だから、会社のどの仕事でも遅れが出た場合には助けることになって いた。それで、まあ、ステーキ1皿で引き受けた。実際の作業は、必要な技術 計算の説明が載っている本を捜してきて、その通りにプログラムを組んだだけ である。でも、できない人間にはできないのである。

この件に限らず、ステーキの貸は随分あった筈であるが、施行されたのは皆 無に近かったように思う。それに、もう時効だろう。

毎月プログラムの問題を1題出して、プログラム・コンテストを行なってい るソフト会社があった。出題内容は、その会社の業務に深く関わることもある し、全然関係ないこともある。問題は公開で、会社の受付近くの掲示板に張り 出されていて、応募は社外の人でも可能になっていた。締め切りの後で発表会 があり、各人が自分の応募作の解説をする。もちろん、優秀なプログラム、奇 想天外なプログラムを作った人には、賞品が会社から正式に出る。実際、私も Jリーグのペアの券をもらった。

このコンテストは、社内のプログラマの腕を上げることが目的である。なか なかオープンな会社で、社外との交流にも積極的であった。もちろん、プログ ラムを隠すなどということはせず、どんどん他人に見てもらい、批評をしても らうのを好んでいた。本人達は、自分達のレベルはまだまだだと言っていたが、 この会社のレベルは相当高かった。

上司たる者、管理職たる者、プログラマの育成には気を配って欲しい。仕事 の進捗状況しか見えなくなったら、もうお仕舞いだろう。

下手な者には、下手な理由が分からない。下手な者には、どこがどう下手か の理由を明確に教えなければならない。下手だ、下手だと騒ぐ手合いはよくい る。でも、これでは単なるいびりだ。

もし、上司に教育できるだけの腕がないのなら、他のより高いレベルの会社 との交流を通じて腕を上げていくことである。社員の修業のつもりで、高いレ ベルの会社に常駐させることで、ハイレベル・プログラマのセンスを吸収すべ きである。下手な使い者にならないプログラマを派遣し、金をせしめている会 社もあるが、言語道断である。

最近の上司は新人に対して、非常に優しく、辛抱強い。新人達が自らレベル アップのための行動を起こすのを待っているようだが、殆どの新人は、そんな ことはしないようだ。

とりあえず、新人プログラマは、強制的にでも渦中に投げ込んであげよう。 それで、どういう反応をするかを見れば、大体その新人の将来の能力は分かる だろう。

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