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インターネットと企業淘汰


インターネット、インターネットと騒ぐことはない。全く別の組織のコンピュータが繋 げられるだけのことだ。

コンピュータ + 通信 = インターネット
コンピュータ技術者こそ、この恩恵を最初に使わなければ嘘である。

今、設計に大きな影響を与えつつあるのが通信、インターネットである。今までは、プ ログラムを作る時、一同に集まって作っていた。しかし、今では別の場所にいても、共同 で作業を行なうことも次第に可能になりつつある。世間でサテライト・オフィスと呼ばれ ているのも同様の意味であろう。同じ会社である必要もない。複数の会社の共同作業もで きる。

離れた場所にいて共同作業を行なうには、意思疎通のために、頻繁に情報交換をしなけ ればならない。相手が不在の時にも送れて、見たい時に見れるし、返事をしたいものだけ に返事をする。こういうコンピュータ環境が、もう現実になりつつある。その一例がイン ターネットである。

通信のメリットは、非常に多くの人との連絡を取ることができるし、その気になれば膨 大な情報を利用できることである。プログラムを作っていると、色々な問題にぶつかる。 個人あるいは小グループでは初めての問題でも、広い日本、あるいは世界中で、同じ問題 について悩んでいる人は大抵いるものである。さらに、解決方法を教えてくれる親切なハッ カーもいる。

通信を使ったコンピュータの利用だけではなく、コンピュータ開発の日常の活動にこそ ネットワークを使わなければならない。ネットワークをこのように使い、社外にもネット ワーク仲間を作ると、情報の質と量が充実する。

インターネットの本を読んだ人も多いであろう。しかし、インターネットは変化の激し い世界である。本の執筆中に状況がどんどん変化している。パソコンの価格や性能の急変 に驚いてはいけない。それ以上に変化の激しい世界である。今後どうなるかは神のみぞ知 る世界である。

インターネットだけでなく、パソコン通信も含めて、コンピュータ通信を誰もが自由に 利用できるようになると、個人で情報発信できる。それも、非常に即応性が高いし、個人 の意見を直接に、誰の検閲も受けることなく発言できる。今までは、不特定多数に知らせ るには、何等かのマスコミを経由するしか手段がなかった。しかし、その気にさえなれば、 個人が直接、不特定多数に対して情報発信できるようになった。

これは、非常に便利だし、民主主義の発展には良いことだ。今まで、マスコミさえ買収 してしまえば、何とか世間をごまかすこともできたが、そういうことが不可能になってき た訳だ。本気で怒った個人が、きちんと情報を整理し、発表してしまうことも可能になっ た。そういう場合には、大企業さえ手も足も出なくなってしまう。

例えば、中村正三郎氏の『電脳曼陀羅』の事件(参考文献2)がそうである。雑誌の連 載にメーカーがいちゃもんをつけ、取り引き停止し、情報封鎖をしようとした事件である が、著者が真相をパソコンネットに公表してしまった。いろいろ情報化社会の教訓になっ た事件であり、結果的には超閉鎖的な日本のコンピュータ社会の進歩になった。文章の書 ける人に変な圧力をかけようものなら、どんな反撃を食らうかを知らしめた。今まで、民 主主義と言っても、実際には発言の手段がなかった訳だが、個人の意見を、日本はおろか 全世界に向かってさえ発表できる機会を与えたコンピュータ通信の意義は大きい。

もうひとつインターネットで重要なことは、各社がネットワークで繋がれると、各社の 能力レベルが白日の下に晒されることである。今、多くの会社が、インターネット、イン ターネットと騒いでいるが、その多くは、インターネットにより無能さを晒け出す側にな る。ほんの一部の、本当に優秀な会社にとっては、インターネットは飛躍のチャンスであ るが、多くの会社には淘汰の荒波が待っている。


我輩は猫である


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