目次次「著作権無視」

これでも高等教育機関


昔、ソフトウェアは学問に値しないと文部省は判断し、専門学校で教えれば十分と考え ていた。だから、国立大学に情報科学科、情報工学科ができたのはかなり遅い。今ではソ フトウェアが重要だと叫び、やたらに「情報」の字のつく学科が目立つ。

これだけソフトウェアを教える機関ができたのだから、さぞや日本のソフトウェアのレ ベルが上がったかというと、どうもそうは思えない。確かに優れた成果を上げているとこ ろもあるようだが、大部分はそうではないようだ。

私は昔出版社の編集部員みたいなこともしていた。あるコンピュータに関する解説書を 1冊急に書かなければならなくなった。まだこの世にない、開発中のコンピュータのこと なので、色々調べながら書かなければいけない。コンピュータも理解でき、文章も書ける 人間を至急調達しなければならない。

そういう事態が発生したので、ときどきお邪魔する東京大学のとある研究室に人捜しに 出かけた。ちょっと先生にも挨拶をと思い、立ち寄って話をすると、
「うちの学生では本など書けまい」
という有り難い教えを授けられたので、それに従い大学院生に依頼した。おかげで、殆 ど私の手を煩わすことなく、ただ待っているだけで十分満足のいく原稿が仕上がってきた。

もし出来ない人間に頼んでいたら、苦労の連続で、
「もう自分でやる!」
と叫んだかも知れない。

それにしても、天下の東大の学生でも、本一冊書き上げられないのが普通である。本も 書けない高等教育って一体何なんだ。そんな大卒、大卒の資格など剥奪してしまえばと思 うのだが、今の日本の大学の程度はそのレベルなのだろう。

出版社だから、大学の先生方の本も出す。大学の先生が原稿を書いてくるのだが、とて も本に出来るような原稿ではなく、内容的な誤りも正して出したことがある。あまり誤り の多い本を出すと、著者の恥だけではなく、出版社の恥にもなる。こういう先生もいるの だから、高等教育機関なんて名前だけに過ぎない。

その出版社で入社試験を行なうことになり、試験問題を作ったことがある。まあ、優秀 そうかどうかを判定できればいいだけである。英語、数学、コンピュータの3分野を出題 した。数学は、正四面体の体積を求める問題を出した。先日子供の参考書を見ていたら、 同じ問題が、中学生レベルの基礎的問題に分類されていた。

正4面体の体積は、ごく普通には、三角錐の体積の求め方に従って、底面積を求め、高 さを掛けて3分の1にして求める。まあ、大部分の応募者は、この方法で解くと思ってい た。

私が期待していたのは、もっとエレガントな答え方をする者がいるかどうかを知りたかっ たのだ。正4面体の体積は、立方体(サイコロ)の4つの角を切り落とすことで作れる。 これから求めれば、ごちゃごちゃ計算しなくても、すぐ求まる。中学生の参考書にのって いたのも、このエレガントな解法だった。

入社試験の結果は、一人を除いて惨憺たる結果であった。これで大学生かと思われるよ うなひどさであった。成績の良かった一人は、心理学をやっていた大学院生で、まあ数学 を忘れてしまったのか、数学の問題だけができていなかった。この人は無条件で合格にし た。

その他の応募者は、理系の学生または院生などであったが、全滅であった。中には、国 立大学で理論物理学をやっているという大学院生が含まれていた。でも、正四面体の体積 も求められない能力で、どうやって理論物理学の研究を行なうのであろうか。

高等教育機関が、本当に高等教育機関として機能しているところは少ない。小中高の間、 学校と塾とを掛け持ちし、大学に入っても語学学校に通ったりのダブル・スクールをしな ければならない。要するに、本来教育の中心であるべき学校が、十分な教育をできなくなっ ている。

学校というところは、過去の知識を教えるところであった。教師は一度習得した知識を 一生にわたって教えていれば済んでいた時代は終わってしまった。コンピュータの世界で は変化は激しい。今後どれだけの学校がコンピュータの進歩についていけるのだろうか。

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