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コンサルタント


コンピュータは変化が激しい世界である。大部分の人々は、その日々の急変についてい くことは困難であろう。プログラマでさえ、過半数は35歳までには落伍者になっている。 こういう激しい世界に、一般の人が直接立ち向かっていくのは、あまりにも無謀と言える だろう。それでも、100人に一人くらいは正しく判断し、正しい行動を取ることができ るであろうが、そんな無理はしない方が良い。多くの人が、自ら判断し、失敗していくの は残念なことだ。

しかし、自ら判断し、行動することが悪いと言っているのではない。非常に危険である、 と言っているのである。その危険も考慮に入れた上で、自社のコンピュータシステムの将 来像を描くのなら良い。そのくらい分かっているならば、授業料として払った金額以上の 十分な経験を獲得し、次のステップに役立てることができるだろう。

人間、一人で知り得ることには限界がある。たとえ数名集まったにせよ、同種の人間が 集まったのでは、知り得ることに若干幅ができるくらいに過ぎない。分からないことは人 に聞くに限る。世の中、色々な専門家がいるものだ。専門家ならば瞬時に適切に判断でき ることを、自分で時間をかけて悩むことはない。だいたい、悩む理由の多くは、無知によ る。

コンピュータについては、コンピュータの専門家に聞けば良い。最終的な判断は当然自 分で行なうのであるが、必要な情報は専門家から入手すれば良い。自分で同等の資料など、 いかに努力しても集めることはできないだろう。また、資料を集めたって、短時間で資料 を読みこなすことは到底できないだろう。

それよりも、今まで何度となく書いたように、コンピュータの世界では、様々なイカサ マが行なわれており、それを何とか見ぬかなければ大変なことになる。これが絶対に良い 製品です、と薦められたからといって、それを購入するのがベストかどうかは難しい。一 番当てにならないのが割引率である。「安物買いの銭失い」という諺は、コンピュータの 世界にはそのままでは通用しないが、自分に適さないコンピュータを買ってしまったら、 動かないコンピュータになってしまい、事務所や家庭の粗大ゴミになるだけである。

そういう諸悪から自分を守るために、是非コンピュータ・コンサルタントを利用してい ただきたい。コンピュータに関する顧問弁護士というか、企業診断士というか、そういう 人を利用するのである。今は、コンピュータ関係の資格試験も種類が増えていて、コンサ ルタント的な資格を意味するものもあるだろうが、そういう意味で言っているのではない。 コンピュータに関して十分な能力があり、人間的にも信用できる人を早く見つけて、適宜 指導を受けるとよいだろう。それに、試験というのは、あくまでも過去についてのもので あり、次々に変化するコンピュータの世界でどれだけ有効かは分からない。有効期限のな い資格試験なんてコンピュータの世界で意味があるのだろうか。

コンサルタントの利用は、コンサルタント自身が持っている知識などに限られる訳では ない。コンサルタントの持っている人脈こそ利用させてもらうべきである。いくら優秀な コンサルタントでも、一人の知識や経験には限度がある。優秀な人には、その裏に、強大 な人脈がある。必要に応じてプログラマや会社を紹介してもらえば、もっともコンサルタ ントを生かせるだろう。逆に、そういう人脈を紹介できないようなコンサルタントなら、 早く手を切るべきだろう。

「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」
「問うは一旦の恥問わねば末代の恥」
という諺がある。

コンサルタントは、時間単価で言えば大変な高額になる。しかし、指針を誤って突っ走っ てしまい、時間と金を無駄にし、チャンスを失ってしまっては、コンサルタント費用をけ ちって墓穴を掘ったことになる。

今までに、大手企業のコンピュータ関連部門を多く相手にしてきたが、コンピュータ・ メーカーなどのごく一部を除くと、あまりにも下らない失敗が多かった。優秀な企業ほど 相談にやってくるし、失敗を隠さない。その反対に、下手ほど失敗を隠す。20年近くコ ンピュータをやってきて、このことだけは確信を持って言える。

だが、コンサルタントにも気を付けなければいけない。無能だが、金額だけ高いコンサ ルタントも少なくない。くれぐれも、威厳とか、服装とか、調度品とか、知名度とか、肩 書きとか、そういうものに惑わされず、コンサルタントがどれだけ自分にとって役に立つ かを判断できる目だけは持って欲しい。もちろん、自分にとって役に立たないと思ったコ ンサルタントは、早々に別のコンサルタントに取り替えるべきである。

コンピュータ産業は、その根本において経済的には顧客、利用者によって支えられてい る。メーカーもソフトハウスも顧客から支払われる代価で生存している。敵対するもので はない。メーカーやソフトハウスがコンピュータについての知識が豊富なのは当り前、そ れが彼等の仕事である。しかし、必要以上に卑屈になることはない。対等に付き合えば良 い。

コンピュータが社会に浸透していけば行くほど、コンピュータ自体を商売の対象として いない顧客であるエンド・ユーザーが増えていく。最終的には、コンピュータ産業以外の 産業全てがエンド・ユーザーと言えるようになるだろう。日本ではエンド・ユーザーの力 が欧米に比べて非常に弱い。大学も非常に弱い。コンピュータの最終的利用者こそ重要で あり、かつ数においても圧倒的に多い。

コンピュータは、そもそも、コンピュータ・メーカーやソフトハウスのために存在して いるのではない。使うために存在しているのだ。使うためにメーカーやソフトハウスに協 力を求めることは必要だが、もっと自信を持ち毅然とした行動をしてもらいたい。無理し て永久に同じ会社と付き合う必要はないではないか。そうでないと、いつまでたっても、 日本のソフトウェアのレベルは欧米に大いに遅れを取ったままではないかと思う。メーカー やソフトハウスの選別を大いにして欲しい。良いところが成長し、悪いところがどんどん 衰退するのが自然の摂理である。必要ならば、コンサルタントの応援を頼むと良いだろう。 しっかり選別をしないと、やがて自分自身が選別されてしまうだろう。

そういえば、ある団体で、本当に優秀な技術者を認定しようとしたことがあった。しか し、もちろん上手く行かなかった。優秀な技術者を選定するのは、同時に、選定されなかっ た人は選ばれた人より何かしら劣るところがあると受けとられる。コンピュータ業界では、 一応口先だけでも、自分の会社の技術者が優秀であると言っていないといけない。だから、 技術力そのものを認定するようなものは非常に難しい。

もちろん、業界の内部深くにいる人には、何処の誰が優秀かは互いに分かっている。誰 が、どの分野で、どのくらい優秀かも分かっている。だから、実は、認定は本当はそれほ ど難しい訳ではない。ただ、政治的な駆け引きのために出来ないのだ。

優秀な技術者について、どのくらい高い技術レベルか、得意分野が何か、ミスが非常に 少ないとか、非常に高速に動くプログラムを作れるとか、複雑な処理もこなすとか、巨大 なプログラムもへっちゃらとか、発想が豊かとか、そういうこと一切を盛り込んだリスト を作成して、インターネットへでも流せば、今の馬鹿げたプログラム開発の状況は一変す るのは確実だ。こういうリストがあれば、わざわざコンサルタントに相談するまでもなく、 最適な技術者とコンタクトできるだろう。でも、政治的に無理だろうな。

日本では、コンピュータ社会の問題点を書いた本が皆無である。パロディ化したもの、 暴露だけに終わっているもの、抽象論や一般論で終わっているものはあるが、現実逃避を せず、正面から取り扱っている本は、今のところ私は見たことがない。これこそが、私が この本を書いた理由である。

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