書 名 出る杭はうたれる 副 題 フランス人労働司祭の日本人論 シリーズ 同時代ライブラリー178 著 者 アンドレ・レノレ 訳 者 花田昌宣、斉藤悦則 発行日 1994年 3月15日 初版第1刷 発行元 株式会社 岩波書店 定 価 1100円 サイズ DL版 288ページ ISBN 4-00-260178-1 本書の著者は、カトリック司祭である。司祭といっても、教会でかしこまっ てカトリックの教えを広めるというだけの司祭ではない。川崎の労働者街に入 り込み、建築現場のいわゆる3Kといわれる劣悪な作業現場で、そのような現 場で働く人びととともに働く司祭である。
相当深く労働者の中に入り込んで活動していたことは、本書から読み取れる。 さらに、日本人でないという特権、カトリック司祭であるという特権があるの で、そうとう思い切ったことが書いてある。
建築現場の労働条件について書いた本であるので、もちろん建築会社の名前 が出て来る。はっきり実名で書いているのもあるし、そうでないのもある。
この本には、宗教の話は殆ど出てこない。現場、現実を叩きつけた本である。 だからこそ、迫力がある。
ごちゃごちゃと思想、理論などを振り回すことが、如何にたよりないことか も教えてくれる本である。