書 名 官僚の官僚による官僚のための日本!? 文 庫 講談社+α文庫 G16−1 著 者 宮本政於(元厚生省検疫課長) 絵 サトウサンペイ 発行日 1996年 7月20日 初版第1刷 発行元 株式会社 講談社 定 価 0680円 サイズ 文庫版 282ページ ISBN 4-06-256153-0 またまた厚生省を懲戒免職になった宮本政於が本を出した。もちろん、内容は、 元キャリヤ組だったエリート官僚が官僚の内幕を書いたものである。
本書が今までの本、 『お役所の掟』、 『お役所のご法度』 とおおいに違うところもある。それは、本書は、元々は、厚生省を起こらせ た元凶でもある、お役所の実状を外人の前で滔々と知らしめ、遂には永久休暇 =懲戒免職となった海外での講演原稿などを元にしている。
つまり、外人に、日本人でさえ全然分からない官庁の事情を外人に分かるよ うにと講演した内容なのである。もちろん、外人を相手にしているため、前の 2冊に比べると、具体的でない。説明的であり、かなり抽象度も上がっている。
外人に、日本の事情を説明するのに、氏の専門分野である精神分析医として の物の見方を利用し、日本の官僚社会を分析しているのである。日本人のいう 「イエス」は、なぜ「ノー」なのか、とかを解説しているのである。
詳しく説明するのは面倒なので、まあ読んでくれ。
書いていることを一言でまとめるならば、「官僚は何も情報を出さない」と いうことを書いているだけである。この事実自身は、誰でも昔から知っていた 周知の事実であるが、それを科学的に分析して書こうとしたところが、それも キャリア組の人間が書いたから問題になったのである。そして、それを、こと もあろうに、諸外国の国会議員などが次々と取り上げ、ますます氏は海外で有 名になっていく一方のようである。
前の2巻と比べると、日本人にとっては迫力に欠けるところがある。氏の 『お役所の掟』と 『お役所のご法度』 をまだ読んでいないのなら、そちらを先に読む方が溜飲がより下るであろう。