書 名 ミスをしない人間はいない
ヒューマン・エラーの研究著 者 芳賀繁 発行日 2001年12月4日 初版第1刷 発行元 株式会社飛鳥新社 定 価 1500円(本体) サイズ 四六判 234ページ ISBN 4-87031-484-3 私自身、ミスは良くする。先日も『Cプログラミング専門課程』の校正ミスのメールを 受け取った。かなり時間をかけて校正したし、出版社の人も校正に加わったのだが、 それでも結構抜けが入ってしまったのである。そして、いまだに見つけられないミスも 残っているに違いないのである。ミスの無い完全な本など、とても私の能力では書けそうにない。 だから、ミスのない本とか原稿とか、自分のレベルを越えることは考えず、 ある程度の品質を保つことだけを考えることにしている横着者である。 試験では、決して100点は目指さず、95点位で完璧と思うか、つい120点を目指したりするだけである。
プログラムを組むということは、ミスというか、バグに必ずつき合うことになる。 バグの研究というのは面白い。人間の性格がバグに反映されるようで、本当に面白い。 というか、人の失敗を解読するのが楽しみという大変困った性格なだけである。 ということで、バグの研究(?)は今後もずっと続けたいと思っている。
バグ研究のためには、コンピュータのことよりも、人間を知ることが重要である。 そのため、こういう本は可能な限り読むようにしている。 表紙には、トイレに落ちて流されそうになった絵があったのも、 つい購入してしまった原因である。
内容については平易で、著者や周囲の人々のミスなどを交え、読みやすい。 スリップ(うっかりミス)と、ミステイク(思い込みミス)の違いがしっかり書かれていて、 そのあたりの整理がわかったことは為になったかな。スリップの方は、昔から多い。 ミステイクの方は、自分は初心者だと信じているので、思い込んだりしないように 心がけていることもあって、それほど多くはないと信じ込んでいる。 (書いていることがちょっと自己矛盾に満ちているが、まあいいか。)
世の中では、ミスを努力で減らそうとするが、まあある程度は減っても、ゼロなど なるものではない。ミスは起きるもの、ゼロにはできないというのを前提にして、 さまざまなシステムを作ったり、行動するようにというのは当然のことだが、 日本人は努力は全てみたいな人が未だに多いので、そういう人に読ませたい本だが、 そういう人間に限ってこういう本は読まない気がする。
2001年12月7日