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書 名お役所の掟
副 題ぶっとび「霞ヶ関」事情
著 者宮本政於(厚生省検疫課長)
 絵 サトウサンペイ
発行日 1993年 4月20日 初版第1刷
発行元株式会社 講談社
定 価1500円
サイズA5版 252ページ
ISBN4-06-206427-8

この本は、いわゆる暴露本のなかでも特に有名な本である。厚生省の現役官僚が 厚生省内部の問題点を赤裸々に、具体的に綴ったものであり、読んでいてなかなか 楽しい。

ビジネスマンたる者、相手や周囲を把握しておかなければならない。学生にした って、将来入るであろう職場の内情を知らずに暢気に構えていて、就職してからビ ックリしたって遅いのである。ちゃんとこの種の本で学習しておくことは重要であ る。

さらに、本書のイラストは、サトウサンペイである。軽いタッチで、実は非常に 辛辣なことを描いているのは、日頃虐げられている者が読むには心が和む。

内容についてちょっと書いておくと、著者はアメリカの名門大学で精神医学の助 教授などをしていたエリートである。日本へ帰って来て、厚生省に入省したのであ るが、役所の不合理と戦わなければならなくなった。そのいきさつなどを書いたの が本書なのである。

まあ、内容が内容だけに、この本は、霞ヶ関界隈では、危険すぎるので、表紙が 見えないようにはじめから書店のカバーをつけてうっていた。特に、省庁内の書店 で馬鹿売れしたとのことである。もちろん、あまりの面白さに、いまだ多くの書店 で平積みされているベストセラーである。

さらに、本書が海外の企業や役人が、日本との交渉を行う為のもっとも重要な教 科書として採用され、海外でも非常に良く売れたらしい。とくに、外人にとって分 かりづらい日本の役所を理解する最高の教科書となったらしい。

最後に、表紙裏にある面白い本文抜粋を引用しておこう。

国会答弁の「適切な言葉」

前向きに 遠い将来にはなんとかなるかもしれないという、 やや明るい希望を相手に持たせる言い方。
鋭意 明るい見通しはないが、自分の努力だけは印象づけたいときに使う。
十分 時間をたっぷりかせぎたいということ。
努める 結果的には責任をとらないこと。
配慮する 机の上に積んでおく。
検討する 検討するだけで実際にはなにもしないこと。
見守る 人にやらせて自分はなにもしないこと。
お聞きする 聞くだけで何もしないこと。
慎重に ほぼどしようもないが、断りきれないとき使う。 だが実際にはなにも行われないということ。

これを参考にすれば、私のような凡人には理解困難な国会答弁も非常に理解可能 になってくる。もっと役所というもの、官僚組織というものを理解したい人は、本 書を読んで学習されたい。


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