書 名 お役人さま!
都庁出入り業者の30年間の悪夢著 者 廣中克彦(出入り業者「新広」社長) 絵 前川しんすけ 発行日 1995年 4月20日 初版第1刷 発行元 株式会社 講談社 定 価 1500円 サイズ A5判 261ページ ISBN 4-06-207620-9 都庁の、水道局などへ出入りしている出入り業者が書いた本である。言うま でもなく暴露本である。もう、著者はいい歳(昭和11年、1936年生まれ) といっても良いのか良くないのか分からないくらいの歳であり、この本を出し たことによって、都庁出入りが完全に禁止になっても構わない、というので書 いたのかも知れないが、私は知らない。
都庁の入札の方法、根回しの仕方など、いろいろ参考になることも多いので、 ビジネスマンたるもの、当然の知識として知っておくべきことが、ありありと、 ユーモラスに書かれている。
役所というところは、当然ちゃんとした職場であるから、勤務時間がきちん としている。その勤務時間の終了時間より早く退庁してはならないので、その 管理をいかにシビアに行っているかの話は納得してしまう。
人様のお金でもってやっているのだから、サボるなんてことは絶対にあって はならない訳だ。だから、時間には厳しいのだ。時間にだけ厳しいのだ。効率 なんてものには厳しくないことは言うまでもない。
まあ、役人、それも地方の役人となると、「決まり決まり」で縛られている ところも多いので、まあ楽しみが少ないのはよーーく分かる。だから、私もそ ういう風な職業につくのをやめた口であるから。
だから、役人のレクリエーションとして、業者をからかって気をまぎらわせ ているのだそうである。まあ、役人にとっては、たいしたことでなくても、出 入りの業者、とくに地域の業者にとっては死活問題になる。いやいや、死活問 題になるからこそ「いじめ」を行うのである。
中学などでのいじめの問題がよく新聞に出ているが、役所ってところには、 「いじめ」がごろごろしていることは良く知られた事実である。生徒どうしの 「いじめ」は新聞沙汰になるが、教師同士の「いじめ」は日常茶飯事と聞く。 昔から、役所、役人の世界の発生と共に、「いじめ」という現象はあったので あろう。まあ、役所は、最低、自分の中くらいは、「いじめ」を無くすべきだ と思うが、無理だろうな。
もちろん、良い役人、心やさしい役人もいることは著者も付け加えているよ うに、私も書いておきたい。
さて、都知事に青島氏がなったが、これで3月末日の深夜まで工事が続き、 4月1日になると、嘘のように静かになってしまうという状況は改善されるの か、皆で注目していきたい。