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書名 フィンランド
豊かさのメソッド
シリーズ集英社新書 0453B
著者堀内都喜子
発行日2008年7月22日
発行元株式会社 集英社
頁数新書判、199頁
定価700円(本体)
ISBN978-4-08-720453-7

このところ、フィンランドが話題になることが多い。 とくに、教育レベルが世界一と評価されていて、その点で注目を浴びている。

本書は、フィンランドに留学した人が、色々な側面から、つまり統計情報だけではなく、 実際にフィンランドで体験したこと、自分の感想等を交えながら書いていることである。

教育と経済力について注目を集めていることもあって、本書の前半は、それらの解説にあてられている。 後半は、生活、文化、日本との類似や違いなどについて書かれてある。

フィンランドについて詳しく知りたい場合は、ネットで調べるなり、本書等で情報は得られるであろう。 でも、一応少しだけ書いておく。人口はとても少なく、500万人あまりで、北海道よりも少ない。 面積は日本より弱冠小さいくらいなので、人口密度はとても低い。 大統領は、タルヤ・ハロネンで、ムーミンママと呼ばれている。つまり女性だ。

さて、教育だが、これは色々特徴がある。 教育は無料だ。大学に学費はない。それどころか、奨学金をくれる。 大学には学年などというものはない。それ以下も、学年に拘ることは少ないようだ。 小学校も、子どもの成長を考えて、±1年程度の差が普通にあるらしい。 授業時間も少ないようだし、 塾などというものも存在しないようである。

こんな教育体制なのに、学力調査では世界一になってしまう。 これを不思議と感じるかもしれないが、実は、ちゃんと訳があるようだ。 要するに、学力調査というのは生徒の平均点が重視される。 となると、落ちこぼれを出さない教育をしているところが強くなる。 元々学年などという考えがないようで、学年で競争するのではなくて、 ちゃんと分るまで教えてくれるし、分るまで教えようという方針だ。 こうすれば、当然落ちこぼれは減る。当然だ。

もちろん、そのためには、小人数教育が徹底している。 また、教師になるのは大変なようだ。教員になるために大学の教育課程に進もうと思ったら、 成績だけではダメで、大学入試の時点で教師の適正検査が行なわれる。 考えてみれば当然のことである。 某国のように、教育委員会ぐるみで無茶苦茶なことが行なわれているようでは、 教育レベルが下る一方なのは当然である。教育委員会に教育をまかせていては将来はないだろう。

"世界一不味い"サルミアッキの紹介があった。 ものすごい不味い、グミのようなお菓子である。 この不味いお菓子が、偶然中学のころ送られてきて、食べたのであるが、 未だにその不味さが思い出される始末である。 一度食べたら一生忘れないくらい不味いお菓子である。 そして、どうもフィンランド人の大好物らしい。

フィンランド語は非常に憶えにくい言語らしい。 なのに、中学の頃、サルミアッキといっしょにレコードが送られてきて、 ちょっとフィンランド語の歌を聞いた。 何か、非常に妙な感じを憶えた。ど田舎だったので、英語もあまり聞いたことがなかったのだが、 それでも不思議な言語だと思ったものだ。 ちょっとフィンランド語の勉強でもと思ったが、格変化がすごくて、15格もあり、直ぐに勉強は止めた。

フィンランド語には「がんばる」という単語が存在しないという。 これは、頑張るという概念がそもそもフィンランドにはないということだろう。 頑張らないけれど、教育、経済が世界のトップクラスというのはどういうことなんだろう。

で、ちょっと考えてみた。 頑張って勉強するって、よく考えると変だ。それって、勉強することが目的になっている。 勉強は、何かを上手にできるように、つまり何かを頑張らなくてもできるようになるためにするはずだ。 技術を身につけると、今まで苦労していたことが楽にできるようになてしまう。 今まで苦労していたのは何だったのだろう、ということのために勉強するのが正しいのではなかろうか。 フィンランドって、そういう考えを国全体として実践しちゃっているのではないだろうか。

世界から考えると、日本はそうとう常識が通じない国と考えられているが、 フィンランドも負けず劣らず変った国のようだ。そういう変った国について知りたければ、 本書はいろいろ書かれているので読んでみるべし。

2008年7月20日

インターンシップ体験記


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