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双書講談社現代新書1328
書名 「複雑系」とは何か
著者吉永良正
発行日1996年11月20日
発行元株式会社講談社
頁数新書版、249頁
定価660円
ISBN4-06-149328-0

「複雑さを科学する」を読んだので あるが、ちょっと内容がなさ過ぎるように思えていたところに、新書版でこの 本が出たので、つい購入してしまった。

本書は、複雑系に関するちょっと詳しい解説書といった感じの本である。複 雑系という学問の内部に入って、それの解説を入門書的に行なおうというその 分野の研究者による本ではなく、要するに、「解説書」というか、ちょっと詳 しいサイエンス読み物的な構成である。

また、非常に哲学的な解説というか、哲学との関係あるいはそれに近い説明 がかなり出て来た。どうもそういう解説は私には読みづらいのである。それで、 いつもは著者の経歴など決して見ないのであるが、いったいどういう経歴の持 ち主が書いたのであろうかと思って見たら、理学部数学を出てから文学部哲学 科を出たサイエンスライターとなっていた。これで、執筆内容に納得がいった。

複雑系の発展や、その研究の推移についての解説はかなり詳しく、面白かっ た。コンピュータ関係の人なら良く知っていることがらも非常に多くでてきた。

たとえば、スティーブン・ウォルフラムというより、Mathematicaを作った 人といった方がいいだろう。

また、MIT人工知能研究所での囲碁の話がちょっとある。「生き死に」で あり、人工生命などとも関係するのであるが、囲碁のことを

「自己増殖するコンピュータ・プログラムのようなものさ」

とかいうくだりもある。それを聞いた人間が、人工生命を作ったりするので ある。

ちょっと話はそれるが、どうしてノーベル賞に数学賞が存在しないかの説明 もあった。


余談だが、私が複雑系に興味を持っている理由は、

「インターネット世界における人々の行動を理解したい」

というのがある。各自が勝手にさまざまなホームページを訪れているのであ るが、ある日突然怒涛のようなアクセスが来たり、ぐーんとアクセスが減った りする。全体的な量はまだ予測がなんとなく付くのであるが、アクセスしてき た各個人が、どうして今アクセスしているのか、誰かに教えてもらって来たの か、そういうことがいろいろ知りたいのである。

インターネットあるいはもっと狭く、WWWに限ってもいいのだが、この世 界でのアクセスは、ほとんど生命体みたいな動きをしているのは前々から感じ ているのであるが、それ以上のことは良く分からない。今私のホームページを 訪れる人の98%は私とは直接には何の関係もない人々であり、なおかつ何度 も何度も訪れる人が多い。この辺はいくら考えても、どうせ各自の行動につい ては分かるとは思えないのだが、でもなんとなく、それらの人々の行動という ものを掴みたいとは今でも思っている。


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