その他の読書感想文
書名 フーリエの冒険
トランスナショナルカレッジオブレックス編
著者ヒッポファミリークラブ
発行日1988年7月29日
発行元言語交流研究所ヒッポファミリークラブ
頁数B5版、427頁
定価3605円
ISBNなし

なんたってこの本はユニークである。FFTという、およそ私には全然分から ないような技法のなぞを解明していく本である。ふつう、こういう本は、難し そうな数式が並んでいる滅茶苦茶堅苦しい本か、あるいは適当な話でお茶を濁 しているかのいずれかである。

しかし、この本は、そのいずれでもない。まず、この本の作られたいきさつ が全然普通じゃない。理工学を目指していない人、あるいは中学生以上の多数 の参加者、そういう人達が集まって波の性質、つまり音声について調べだした のが発端である。そもそもヒッポファミリークラブとは、言語の研究をする所 である。そして、言語とは音、波の伝搬である。したがって、言語の研究には 波を研究しなければならない。それゆえフーリエをやらなければならない。

これだけ読めば、知っている人は知っているだろうが、普通の人がとんでも ないことに足をつっこんだことが分かる。要するに、フーリエとは複素数がビ ンビンに出てくる世界である。そこに、中学生までをひきずり込んで、フーリ エの本質に迫ろうとしたのである。

でも、この本、面白かった。全部ワープロ仕上げであるが、手書きの図と、 多数のイラストが入っていて、楽しいのである。

構成は以下のようになっている。

  1. フーリエ級数
  2. フーリエ展開
  3. 離散フーリエ展開
  4. スペクトルと音声
  5. 微分
  6. sinθの微分
  7. 積分
  8. 射影と直交
  9. e と i
  10. オイラーの公式
  11. フーリエ級数展開複素数表示
  12. フーリエ変換と波の不確定性
  13. FFT法

この構成をみると、私と同じように、頭がいたくなる人が多いかと思うが、 この本は大丈夫である。膨大な量の図が理解を助けてくれる。図と式は、この 本より丁寧な本はこの世にないのではないかと思う。

こういう内容だから、この本1冊で、数学のかなりの分野を丁寧に、かつ気 楽に学べる。だまされたと思って買って、読んでみてください。しかし、この 本、どこででも手に入る本ではない。大規模書店ならあるようだが、そうでな い場合にはまずない。ということで、発行元についての情報をもうすこし詳し く書いておこう。

言語交流研究所ヒッポファミリークラブ
〒150 東京都渋谷区松涛1−4−7エース松涛ビル
電話(03)3467-6151


その他の読書感想文