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書名 脳研究の最前線
上 脳の認知と進化 / 下 脳の疾患と数理
シリーズBLUE BACKS B1570,B1571
著者 理化学研究所 脳科学総合研究センター
発行日2007年10月20日
発行元株式会社 講談社
頁数新書判、上347頁、下384頁
定価各1140円(本体)
ISBN978-4-06-257570-6,978-4-06-257571-3

理化学研究所 脳科学総合研究センター

日本の脳科学の研究の中心的存在であるところが、 研究所全体としてまとめて出したような本になっている。 現在の脳科学の多くの分野に関して、かなり網羅的に現在行われている研究を紹介した感じになっている。

まず、研究所であるが、脳科学総合研究センターは知らなくとも、理化学研究所の名前は御存じだろう。 今は、研究所が研究だけをしていれば許される時代ではない。 とくに、理化学研究所みたいな基礎研究しているところは、 その研究自体を理解してもらうことがとても重要になってきており、その一環ではないかと思う。

さて、本書は、12章からなり、12名で執筆されている。 そして、それらの章はほぼ完全に独立していて、どこから読んでも大丈夫だ。 また、基礎から脳科学をきちんと教えるための本でもないので、 脳科学の本として最初に読むにはちょっと難しいかも知れない。 また、研究所で現在行われている研究を述べる、さらには将来の夢を述べるみたいなところもあり、網羅性は低い。 でも、色々な新しい情報が雑多に入っているので、科学雑誌の連載を一気に読んでいる感じだろうか。

上巻は神経細胞レベルの話から、知性とか言語、情報まで扱う範囲は非常に広い。 下巻の多くは、病気との関係の話が多い。 脳の病気についてかなり網羅的に扱っており、 精神病といわれているものが脳科学的に解明されつつあることが判る部分は読む価値が高いだろう。 そして、脳科学の研究はちょっと間違えると人間をいかに操ってしまうかとか、 危い世界の到来を予感させるところもある。 このあたりは、原子核物理学の発展と原子爆弾との関係に酷似しているのではないだろうか。

脳科学の研究は、21世紀のもっとも中心的な研究として進むであろう。 実際、最近は法的面も検討されつつあるが、法律が脳科学の進歩についていけるかどうか怪しいものである。

研究所のホームページにチュートリアルシリーズとあって、学部学生から研究者、技術者向けにやさしく 説明するとあったので読んでみたら、講義は全部英語で行うのだそうだ。 う〜む、どうしよう。無料でかつ第一線の研究者の話が聞けるのは魅力なんだが。

2008年1月11日
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