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書名痛快!サバイバル経営学
著者坂口大和
発行日2002年1月30日 初版1刷
発行元株式会社集英社インターナショナル
頁数B5判、216頁
定価1700円(本体)
ISBN4-7976-7049-5

およそ経営学などとは関係ないような感じの表紙であり、つい入手してしまった。 といっても、一応ぱらぱらと立ち読みはした。

サイズが大きく、各章の扉には、1ページの漫画でテーマが描かれているような本である。 そのような本だが、一応色々なことが、もしかして痛快!に書かれているのかと思って購入した。

痛快かどうかはともかく、頭が痛くなるような本ではなく、多数の具体例を示しながら解説が進む。

本書は、いわゆる企業経営全般というより、企業、さらには現代社会を「組織」としてとらえ、 「組織の最適運用法」を探る経営学について、経営者だけではなく、学生も含め、広く一般の人の 読み物として書かれている。

確かに、経営というのは、結局は人の集まりをいかに運営するかに集約できることは間違いない。 組織で一番重要なのは、人である。そして、組織を作り、いかに利益を生み出して行くかである。

この本は、組織がいかにして失敗を目指してつっぱしっていくかを組織論理の面から述べている。 組織というものは、決して合理的な判断をし成長していくものなどではなく、組織を守るため、 組織自体が大きくなるように行動するに過ぎず、要するに今の官公庁のような状態になると言う。 官公庁のように自由競争もない社会では、おかしくなるのが当然であり、それは官公庁に限らず、 あらゆる組織は、そのように悪い方向に暴走するようにできているという。 確かに、非常にたくさん思い当たることは多い。

私は、ずっと「失敗学」というのを追いかけている。プログラムの場合には、バグと呼ばれる。 それが、経営になれば、プロジェクトの失敗とか、赤字とか、倒産とか、まあいろいろあるが、 これも組織運用上の失敗、バグであろう。どんな世界でも、バグが尽きることはないようだ。

しかし、経営でバグが発生すると、ちゃんと虫取りしないと、倒産ということになる。 実際そうやってビジネス社会は新陳代謝していくのであろうが、実際に経営していたり、 そこで働いている者にとっては、破綻する前に、せっせと虫取りしないといけない訳である。

しかし、組織とは、虫をどんどん作るのが組織の根源的性質となっているとの説明なので、 これだけでは経営が成り立たない。では、どうやって経営が行われるかというと、 組織を無視して動く、あるいは決断できる人がいないと組織は内部の者の努力によって 自滅するとある。この、組織を無視して動く者こそ、リーダー、社長の役目なのである。

確かに、民主主義的なだけでは組織は空中分解するので、納得できる。 議論に議論を重ねて、間違った方向に進むというのは、日々体験することである。

ということで、軽く読める本の割りには、結構本質を突いているかと思う。

新卒が就職した先が倒産したりすると、新卒を可哀想に言う風潮があるが、あれはどうかと思う。 まして、経営学部出身だったりすると、何しに大学へ行っていたのかと思わざるを得ない。 どこかに就職する気があるのなら、この本レベルの経営学くらいは誰しも知っておくべきだろう。

2002年8月31日


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