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双書KAWADE夢新書 S139
書名 うわさの科学
著者 松田美佐
発行日1998年1月15日
発行元株式会社河出書房新社
頁数新書判、214頁
定価667円(本体)
ISBN4-309-50139-7

噂は人間社会にとって、つねに重要な役割をしてきた。噂で銀行の取り付け 騒動が起きて本当に潰れたり、まあ色々あるのである。本人の知らないうちに、 変な情報が流れたり、マスコミが噂の流布に貢献したり、色々あるのである。

昔、私の作ったソフトの評価記事が某有名雑誌に掲載された。そういう内容 が掲載されることは前もって知っていたのであるが、私の経歴まで掲載されて いた。その経歴には、東京大学工学部精密機械工学科卒となっていたが、どう してそうなったのか私には全然分からない。編集部からの問い合わせも一度も なく、雑誌を見た時、私が一番驚いた。 これが正しい私のプロフィールである。

ホームページ、電子メール、メーリングリスト、その他もろもろでも、自分 の書いた内容とは違う風に解釈され(これは多分に表現不足が原因しているか もしれないのだが)、情報が勝手に一人歩きしてしまうことがたびたびあった。

そういうことがあって、少しは「うわさ」についても知っておき、対処の仕 方があるものならばと思って読んだ。

第1章 ウソか、マコトか うわさの実像に迫る
第2章 大衆パニックを生むうわさの底知れぬパワー
第3章 マスコミとうわさの危うい関係とは
第4章 うわさの震源地、伝達ルートを追う
第5章 あなたはなぜうわさに踊らされてしまうのか?
第6章 携帯電話、パソコンがうわさを進化させる
第7章 巧妙なうわさとの上手なつき合い方

第5章までは、噂について、ごく普通に分析やら事例が並べられた本で、と くに目新しいというものはなかった。まあ、良く調べているな、とうい感じで 読み進んだ。

第6章は、インターネットを含む、最近の先端情報機器でのうわさの伝わり 方についてである。結論からいうと、文字情報を中心とする電子メールや掲示 板などでは噂は伝わりにくい、ということであった。伝言ゲームと違い、電子 メールの返信機能を使って元のメールの一部を含んだメールを出す場合、文章 がそのまま無修正で伝わって行くので、うわさの最も重要な要素である、勝手 に変型していくということが少なく、うわさとして性質が失われるようである。

そういっても、チェーンメールなどもあり、インターネットで噂が全然ない と言う訳ではなく、普通の世界より少ないということである。実際、私自身の 今までの経験でも、だいたいそんなものだと思う。

最後の第7章、これが一番重要なことである。勝手なうわさが立ってしまっ たときにどうするか。基本的には、放置しておくのが一番とのこと。私も、最 近はその路線でやっている。人が思い込んでいるものを修正するというのは大 変な労力がいるし、修正しようとするとよけいに誤解を生むことが多い。だか ら、勝手に思わせることにしている。

現代では「人のうわさも75日」ももたない。


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