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コの業界の出社時間

1995年12月22日

「コの業界」というのは、コンピュータというより、私が常日頃お世話になっ ているというか、うろちょろしている業界のことである。といっても、私が直 接見聞きした、つまり経験した範囲内の、極々局所的な部分を観察した結果で ある。

もうちょっとはっきり言うと、出版印刷業界とコンピュータ業界の交差点と いうか、共通部分みたいなところの話である。で、さらに、その中でも技術思 考が強いのではなかろうかと思っている分野、例えば UNIX などという凡人で は理解できよう筈もない世界にいる人間達の出社時間についてである。もちろ ん、出版社、雑誌社、ソフトウェア技術者などが含まれる。

逆にいえば、大型コンピュータが今だ最高だと信じて疑わないような連中の ことは私は知らない、知りたくない。そういうネクタイ締めて、スーツ着て、 よーく聞いてみると全然つまらんことをやって金をふんだくっている、世間で 真っ当なと言われる世界には馴染めないので、以下に記すことは、昔からイン ターネットをやっているような非常識人間達の話である。

先日、昼頃、渋谷のロフトで買物を済ませてから、歓楽街である「センター 街」というところを渋谷駅へ向かって歩いていたら、すぐ目の前に、大学院生 にしてもちょっと年を取りすぎているのではないかという、どうみてもサラリー マンなどには見えない風体の人間が立っていた。

早い話が、アスキーのゲーム担当部長の一人が、昼頃、ふらふらと歩いてい た訳だ。まあ、ゲーム担当だから、わざとラフな恰好をして、いかにも不良中 年予備軍みたいにしてゲームセンターを偵察しに来たのだろうとは思いたいが、 まあ違うだろう。

立ち話のついでに、近所の旭屋へ連れ込んで、「コの業界のオキテ」を売り つけてしまった。これで、缶コーヒー1本分儲かった。

渋谷は、この業界の人間が、結構昼間とかにうろついている。某大手出版社 の人が渋谷で乗り換えて通勤していたのだが、よく、昼頃に通勤しているのを 見かけた。まあ、出版社に電話するときに、午前中に電話なんてしては絶対に いけない。まず、ほとんどの場合、まだ出社していない。

そういえば、某岩波書店で打合せをしたとき、打合せ時間を午後5時だった かにしておいた。つまり、正面玄関が閉まる時間にしていた訳だ。すると、ロ ビーにどんどん人が集まってくる。昼間に打合せするときなんか、ロビーはガ ラガラなのであるが、さすが、世の作家や学者先生達は深夜族が多いのだろう、 そういう風な時間帯にロビーが込むのである。もちろん、帰りは裏口からのそ のそと帰って行く。

この業界では、出社時間はあってもなくても同じようなものである。確かに、 労働時間と生産量とか品質とかは、何の相関もないような世界であるゆえ、そ れも仕方あるまい。だから、この手の人間に、経理部門が納得するようにタイ ムカードを押させるのは至難の技である。

私自身も、タイムカードを一時は仕方無く押したこともあるが、どうもああ いうとても面倒なことを毎日するきにはなれない。前にいた会社では、私が出 社する前に、女の子がちゃんと押していてくれたりしていた。でも、帰りには 代わりに押してくれるような親切な人がいなかったので、出社ばかりするタイ ムカードができていた筈だ。

そういえば、時々訪れる技術評論社。ここも、会社であるから、タイムカー ドが置いてある。そして、でかでかと、

ちゃんとタイムカードを押さんかい!

ということが、訪問者も含めて、あらゆる人に気がつくように書いてある。 ということは、やはりタイムカードを押さない人がいっぱいいるからに違いな い。

昼頃に、渋谷の街をうろついている業界人にでくわすということは、この私 も、この業界人みたいな時間に通勤していることの証明であるのが辛い。早く 真っ当な生活をしたいと思いつつ、長年の悪癖から抜けられないでいる。

子供の社会の教科書を見ると、父親が最初に家を出て、それから子供達が学 校へ行くことになっているが、実際にそうでない生活をしている。だから、テ ストで本当のことを書くと、社会の点数はどんどん下がってしまう。いったい どうすりゃいいんだ。


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