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物理法則に基づいた正しい仕事量に従う日本式ビジネス社会

1998年6月17日

こなした仕事量というのは、力 × 移動距離 というのは昔から決まってい る物理法則である。これくらいは私も何とか理解できる。×の部分は、正しく は内積とかいうやつらしい。そして、どうも、いままでのビジネス社会、もち ろんコンピュータの社会も含むのであるが、社員のやった仕事量は、どうもこ の物理法則を使って判定するようである。物理法則に従った正確無比な判定方 式なので私がとやかく言うことはできない。

ここで力というのは、たぶん能力のことを表すと思ったのだが、正確には真 面目度をいうらしい。Gパンはいたり、Tシャツで仕事をしているのは仕事を 真面目にとらえていないということで、いけないらしい。ちゃんとスーツを着 て、ネクタイをきつくしめて、いつでも首吊り状態になるようなのが真面目と いうことらしいのである。

もちろん、私のように、相手の会社の近くまで来て、「まあ金のためならむ さ苦しいネクタイもしかたがないか」とあきらめて着用する者など、とうてい 仕事を真面目にしている人間とは認められないのである。もちろん、その会社 を出てきたら、すぐに外していることは言うまでもない。この会社は、ネクタ イなどする必要は全くないな、と思ったら、当然ノーネクタイにしてしまう。

情報収集をするのでも、あちこちに電話をかけたり、出かけていって喫茶店 でコーヒー飲んでいたりする方が、インターネットで、メールやウェッブなど で情報を集めているより遥かに評価が高い。他の人々が、何日も、何週間もか かっても集められなかった情報を、机の前に悪い姿勢で椅子に座り、ブラウザ を操ったり、メールを見たり、そんなことをやって、依頼されて1時間後くら いに必要資料全部かき集めて、「こんなもんでいいですか」なんて提出しても、 けげんな顔をされることが多いことがコンピュータ関連会社の間でもまだまだ 一般的である。

とにかく、机の前に座って、遊んでいるのか、仕事しているのか、勉強して いるのか全く理解不能のようなことをしている癖に、依頼すると短時間で解答 が提示されるのは、どうも今までの真面目に仕事をしている人々の立場と言う のを根底から崩してしまうので、非常に危険との意識があるようだ。

「こつこつ真面目にやって来た人の立場を考えろ」ということを良く聞くの だが、プログラマだといって、1つのプログラミング言語だけをこつこつやっ てきて、気がついたら世の中変わっていました、なんて人、どこが真面目なん でしょう。技術に関して最高に不真面目だと思うのだが。まあ、私は、技術と か人々に対しては真面目にやっていこうと思っている。技術がないばっかりに 大事故を発生させたり、医療機械を暴走させて人殺しをしてしまうようなこと を、可能な限り回避しようと思っている。

月200時間働いたら真面目とみなされたりするのがまだまだ一般的だ。2 00時間働いて、何が出来たかを云々する人はまず居ない。160時間より2 00時間の人の方が40時間分真面目であり、その会社の力になっているので ある。

こういう働き方をされると、 『Cプログラミング診断室』 の集中治療室で紹介した力作が生まれてしまうのではないかと心配するのであ るが、まだまだ力が重要らしい。

それから、真面目と言うことと大いに関係するらしいのだが、高価な商用ソ フトを利用しないと評価されない。フリーのソフトなど、使用禁止の会社がま だまだ多い。商用だと、品質が高いと思っている人が多いようだが、商用か否 かと、品質が高いかどうか、サポートがあるかどうかは関係ない。品質が高い ものが品質が高いのであって、サポートがちゃんとしているものがサポートが ちゃんとしているだけである。

そもそも商用ソフトには、 「このソフト使って何が起ころうと一切知らんからね」 と明記されている。これに同意したら、包装を破って使っていい、同意しな いなら返品できるようなことが書かれているのである。要するに、最終的には 絶対責任なんか取らないからね、と書いているのである。これをコピーして、 その部分をサインペンでマークして、上の方の人々にちゃんと確認取っておい た方が安全である。もしかして、商用ソフトだって、そんなもんなんだという ことを上は知らないかもしれないので、啓蒙活動は重要であろう。

啓蒙活動に、このページをプリントしてさりげなく置いておく手もないでは ないが、あなたが首になる可能性も十分にあるかもしれない。置くよりも、落 しておくほうが安全ではあるが、日頃の言動で誰がやったかはすぐにバレるで あろう、要注意である。こういう判断力だけは結構あったりする。

さて、移動量であるが、これは言うまでもなく、長〜く電車に乗って、会議 に出かけたり、長〜い通勤時間をものともせずに出勤することを言う。ちょっ とした連絡事項とかでも、ちゃんと相手の会社まで出向いて話をしなければな らない。30分で済む仕事のために、往復3時間なんてことは幾らでもある。 これを1日2回おこなうのは普通で、1日に、午前、午後、夕方、さらには夜 と4回くらい行なうと、ものすごい仕事をしていることになってしまう。移動 時間が合計12時間位になったら、当然、物理法則により、大変な仕事量をやっ たと評価されるのである。

ここで、「電子メールとか使えば」なんて発言をしてはいけないのである。 情報は質量ゼロなので、力がゼロでも移動してしまう。何度も何度も情報が 行き来して、移動量は莫大な量になるが、仕事量はゼロのままである。

私のページを読みに来る人の会社はこんなことはないと思うが、世の中には まだまだこんな段階である。時間でしか評価できないというのは、仕事の内容 を評価する能力がないということの証明以外の何物でもないのだが、コンピュー タの、特にプログラム開発は未だにそういうところが多い。

こんな私も、どういう訳か歳を取り、技術者の評価を頼まれることもあるよ うになってきた。それで、面接やるときに、「頑張ります」とだけ連呼するよ うな人が未だに結構いる。きっと力作を作ってくれるので、『続プログラミン グ診断室』が出来るかもしれないが、たとえ10万部売れても責任を考えたら 全然合わない。

インターネットで繋がっているんだから、特に集まらなくてもできる仕事は いっぱいあるのだが、それでは移動量がゼロなので仕事量がゼロ、つまり仕事 はできないことになるらしい。

こんな阿呆しかいない会社とか社会とかは早く潰れてしまわないと、情報化 社会、ボーダーレス社会では国も危ないか。


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