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与えられたることに慣らされてしまった人々

2002年12月15日

世の中の人々は、どういう方法で就職先を見つけるのであろうか。 学生ならば就職課とかだったり、転職ならば転職雑誌とか、あるいはハローワークを 利用したりするのだろうか。

私自身、普通に就職したことが残念ながら一度もない。普通と言うのは、 ちゃんとした手順を踏む、採用試験があったり、履歴書なるものを持参して面接し、 そして採用になるという真っ当な就職手順をまったく経験したことが無い。 こっちから勝手に連絡とったり、いつの間にか巻き込まれていたり、とにかくそういう事ばかりである。 それでも、TK-80のころからずっとパソコン業界・インターネット業界に関わって居続けることが できたのだから、こういうのもOKだったのである。

そんな就職経験しか無いのに、云十年経過してしまい、 技術者採用面接に立ち会うことが甚だ多くなった。というか、かなり初期から、 どういう訳か採用面接に立ち会ったり、入社試験問題を作らされたりした。 どこか間違っていると思うこと、しきりである。

そういう中で、最近とくに感じることがある。 極めて真面目で、どちらかというとよく勉強して、大学だけでなく大学院まで行っている 人の割合がずいぶん増加して来た。だから、知識は確かにある場合が多い。 海外留学をしている者も少なくない。知能は確かに高い。

しかし、若者に、昔のような無茶苦茶感が感じられなくなってしまったのである。 勉強してきた知識を元に、しっかり働いて会社に貢献します、 というまるで優等生的な発言が多くて、これでは困ってしまうのである。 大学院まで進んで、なんらかの専門を身につけた筈の人が、 なぜその専門を選択したかが不明のことが少なくない。 その専門分野でなくても、実は何でも構わなかったような感じを受けることが実に多い。

とんでもなく困るのは、インターネットとか、コンピュータとか、いわゆるIT産業界で 技術者として働きたいというのに、今身につけている知識を活かしたいと言う、 とうてい私には信じ難い返事をする者が多い。それも、基礎知識と言われる分野ならまだしも、 この数年で流行っただけに過ぎないものを良く知っているというだけだったりする。 この数年で流行っただけなら、数年後には廃れてしまう可能性は極めて高い。 IT関連の技術は、次から次に発生し、次から次へ消え失せている。 まあ、その変化に大勢の人々はついて行けないおかげで、その変化についていける者は 飯のタネにできるのである。 たったそれだけのことに過ぎないのに、はかない技術や知識の習得に全力を傾ける人が多い。

そういえば、最近資格試験が盛んである。資格試験自体悪いことではないが、 決してそれらは最先端ではなく、試験ができるくらい固まった技術であることを知る必要がある。 もちろん、最先端を走るより、ちょっと後ろを走った方が、ビジネスを考えると得策ではある。 実世界では、資格試験の内容のように単純なことは少なく、そもそも妥当な答えが無い場合が多い。 答えがあるなら、考える必要も、働く必要もなく、さっさと持って来て利用するに限るが、 そうは行かないものである。

資格試験どころか、大学の試験でも、そういうどう答えて良いかわからない問題を出す 先生がずいぶん減ってしまったようだ。そもそも、大学の単位の与え方も無茶苦茶だと思う。 知識を与えるタイプの講義中心の授業ばかりが単位数が多く、演習、実験などより総合的な 能力が問われるものが単位数が少ない。真面目に実験レポートなどを書いていたら、 単位取得効率が落ちてしまう。それとも、単位の配分がそのように不合理になっているのは、 レポートを上手に手抜きして書く能力を学生のうちから身につけさせようという魂胆だろうか。

そういえば、先日、早稲田大学と清華大学 の共同シンポジウムが早稲田大学であって、ちょっと覗いて来た。 もちろん、清華大学に興味があって行っただけである。 そして、色々な面で大差があることが分かった。 もちろん、清華大学の方がはるかに先を歩いていて、早稲田大学が教えを受けるみたいな 感じのシンポジウムであった。さらに、中国側の人は若い。 この時に限らないのだが、日本で行なわれるシンポジウムには、日本側は常に年齢が高くてがっくりする。 教授などどうでもいいから、学生、院生が数多く出てこなくてどうするのだろか。

無から有を作ってしまおうとしたり、 敷かれたレールを外して別の方向にレールを敷いてしまうような輩は日本では減ってしまったようだ。 何もかも与えられたものを受け止めるだけに慣らされてしまったのだろうか。 TK-80の頃にマイコンの世界に飛び込んで来た人々の多くは、安全確実な職場を捨ててまで 飛び込んで来た者が少なくなかった。しかし、今は全然違うようだが、これも時代の流れだろうか。

元気な若者が居なくなったのかというと、そうでもないので救われる。 AIESECは、そういう活動的な学生団体と言えるだろう。 世界を飛び回っている学生達で、本当に頻繁にあちこちの国に行ってしまう。 日本にずっと居て、真面目に勉強して社会を知らない人が多い中、 日本はもちろん、世界の学生、さらには世界の企業を相手に国際インターンシップを 行なっている学生NPOである。こういう人達が日本にもいるかと思うと、救われる気がする。


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