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日本の技術者教育って一体どうなっているのでしょうかねぇ

2003年7月26日

どうも世の中の「技術」の捉え方が良く分からない。さらに、技術教育につい てはもっと良く分からないのである。とくに、最近の大学の工学部、とりわけ 技術教育について、どういう方針でやっているのか理解に苦しむのである。

私の場合は、めちゃ明確なのである。技術とは、楽をすること、上手に手を抜 けること、要領よく済ませること、昼寝していても結果はしっかり出ることな のであるから、無駄な努力どころか、どんどんダメにしていく努力などという ものはさっぱり分からない。自分が楽をするだけでなく、利用者も楽が、横着 ができるようになること。世間の言葉では、ゆとりができ、充実した生活など という言葉に変換されるらしいが。

コンピュータ分野からしか考えられないのだが、若かりし時、延々と無駄なプ ログラムを書いた苦い経験から、何とか横着できないものかと思い続けてきた。 それから、人間(自分)は絶対にミスをするので、できるだけ自分では操作を しないでもちゃんとした結果が得られるようにしようといつも思っている のだが、世間は違うようだ。

世間は、どうも努力が大好きなようだ。延々と同じプログラム、似たプログラム の再生産をするようだ。地球滅亡まで誰も読まないドキュメントを延々と生産 することもいとわない。努力して失敗は許されるらしいが、横着して成功は許 されない変な国である。

プログラム開発を数年経験した頃、優秀なログラマは、プログラムを開発しな くても問題を解決できる方法まで含めて考えるというのが分かった。もちろん 極めてエレガントなプログラムが作れるのだが、それより上を狙うものらしい。 私はまだプログラムを書いてしまうので、まだまだその域には達していない。

最近というか、学生の頃からあまり本を読まない。本屋で良く立ち読みはした し、購入して積ん読もしたが、積ん読だけではなかなかダメらしい。やむなく その一部を時々読んでいるが、根気がなく、最後まで読むことが少ない。500 ページもあると、持ち歩きが大変で、読書にはつくづく体力が必要なことを実 感している。

最近の若い人は、知識のある人はとても知識がある。時間があるかぎり、イン ターネットや書籍などを読んでいるので、とても知識ではかなわない。とにか く、頭への情報インプットは大変多いようだ。

これだけインプットしているのだから、アウトプットの1つとして、本なり雑 誌の記事なり書くのは楽勝かなと思ったら、どうもそうではない。以前、出版 も手伝っていたころ、東大の教授に「本を書くアルバイトできそうな人いませ んかね」と聞いたら、「東大の学生でそんな優秀なのはまずいない」と断言さ れたので、素直な私は、学生ではとてもダメと思い、博士課程の人にそのバイトをしてもらっ た。最近も、博士課程あたりの人にちょこちょこバイトをしてもらった。高校 生の頃、大学生くらいになれば、論文も書け、英語もできるんだよなと思って いたが、それが大間違いだったことが良く分かった。やはり経験は大事である。

さて、実際に物を作ってもらうと、何か違うのである。物を作るのに、確かに 知識はそこまで使わなくたっていいじゃないと思うくらい駆使して作られてい ることがしばしばだ。教科書的には確に正しい。でも、これ、使いにくいよね、 使えないよね、という類いにお目にかかる。何だか理屈だけで作っているのが 多い気がする。子供のころ、与えられたおもちゃをちゃんと調べる、ちゃんと 壊すというのをしなかったのではないかと危惧する。

一般には、企業に入ってから、経験を積むことで使える物が作れる技術者になっ ていくし、それが企業の教育というものとの判断が一般的なようだ。 物を作るというのを放棄しているような工学教育って、工学教育なのだろうか? 企業も、大学をその程度にしかみていない状況というのも変である。 このあたりが、日本の教育のさっぱり分からない点である。

それから、目の前にある現実とか、状況を把握する気がさらさらなく、本に頼っ たり、インターネットやそのほかの情報源にあまりにも頼りたがる。もちろん 人間だから、目の前にある現実が頭のなかで再構成されはじめて実在すること になるのだろうから、存在しても本人に見えないことはよくある。私の場合に は、見えていても、見えなかったことにしたいなぁ、ということがしばしばで あるが、わざと忘れると怒られてしまう。

仕事柄、情報を提供する現場を色々見てしまったのが災いし、情報を疑ってか かる癖が身に染み付いてしまった。本と現実との大いなる隔たりとか、とにか くいっぱいある。理論は正しいかもしれないが、現実優先でなくてどうするの かと思ってしまう。

そんな考えをもっていたら、つい先日、 日本技術者教育認定機構 (JABEE : Japan Accreditation Board for Engineering Education) なるものが紹介されているのに気がついた。 何と関係者が、と思ってしまったのである。 この組織は、技術系学協会と連携し、技術系大学等の教育を審査認定すること で、日本の技術者教育を充実したものにし、 世界で評価されるものにしようという非政府団体である。

もちろん、日本の大学の中でも、そのごく一部では驚くほど色々やっていると ころもあるようだが、以上に書いたよりもはるかに下、なんでこれが大学(?) というところの方が多い。先日も、有名大学の英文科卒業予定という人の面接 になぜか立ち会う羽目になったが、とても英文学ができるほどの英語と思えな かった。入社したら頑張りますという前に、本職であるはずの英語をもう少し 何とかする方に頑張る必要がある思った次第である。 本当に、日本の大学はじゃんじゃん整理した方が日本の将来のためだね。

本当に学歴は無意味な時代になってしまった。


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