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正月はヒカルの碁に出てくるような天才少女の囲碁を観賞

2008年1月8日

去年は年末に年賀状を印刷しようとしたら、まったくカラープリンタが動かないのが判った瞬間に 準備する気がいっきに萎えてしまい、結局休みになってから年賀状の準備をするという 例年と同様の状態に陥った。

さて、今年はもっと建設的な、新しいことにチャレンジしなければと思った。 干支も今年は鼠ということで、あらたに始まる訳なので、いつもと違う正月にしようと思い、 今までやったことのないことをやってみようと考えてみた。

年末に、『ヒカルの碁』の監修をした棋士のブログ 梅沢由香里のつれづれ日記 を見ていたら、正月に公開対局するらしいことが分った。 ときには正月らしく、そういう対局を見てみるのも良いかと考えた。

対局だから、当然相手が必要だ。相手は小学校3年生の藤沢里奈ちゃんとあった。 女流棋聖に3子(最初に3つ黒石を置くハンデ)で戦うというのだから、相当に強い。 これは、アマの段でいえば、五段か六段の実力ではないだろうか。

その日は既に初売も始まり、家族は出掛けるようだったので、のんびりと囲碁で正月気分いっぱいの 会場、目黒雅叙園へ出掛けた。受付順で、定員に達したところで締切なので、 ちょっと早めに出掛けて、受付だけ済ませて、目黒雅叙園で琴の音でも聞きながら 風流な昼食をと思ったが、さすがにとてもたかかったので、 目黒駅まで戻って適当に昼食を済ませた。 せっかくだから雅叙園で食べればよいのだが、どうも貧乏性が出てしまったようだ。 来年は何とかしよう。

食事を終えて戻ってしばらくしたら会場へ入れてくれたが、 IT関連のセミナーと違って、とても熱心な人が多く、席は前の方から詰まっていく。 前の方から詰まるセミナーなどまず存在しないし、つまらなくて眠る人とか、 内職をする人がいるのが世の授業、講義、セミナーの常と思っていたが、 遊びとなると、皆目の輝きが違う。

時間になって、すらりとした梅沢由香里と、まだ小学生そのものといえる藤沢里奈ちゃん が入ってきて、会場に集まった人々は一斉に注目する。解説は若手の石黒棋士と、 NHK囲碁の中島さん。とても豪華なメンバーだ。 里奈ちゃんの対局席は、普通に座ると碁盤が見えなくなるので、 ぶ厚い座布団が置いてあり、その上に座っての対局である。

対局は、滅茶苦茶に早いペースで進んでいく。対局だけで2時間くらいを予定してあるはずなのだが、 そんなの一切無視で、二人はどんどん打ち進めるので、じっくり解説する時間がない。 そんなペースなのに、互いに厳しい手を放つ。

置き碁の場合、最初は下手が圧倒的に有利だ。普通なら、その有利さを利用して、 安全確実な手により、確実に勝とうとするのが私のようなやっとアマチュアの段に届いた程度の 人間が考えることである。ちょっと手ぬるい手だが、混乱をさけ、目の前の勝負に勝とうとしてしまう。

しかし、里奈ちゃんの打ち方はまったく違う。今、目の前のハンデ付の試合に勝つよりも、 全ての点で最善を求めながら限界の手を打っている。アマチュアの強い人とは全く違い、 最強の手、妥協しない手を求め続けているようだ。 一方で、私が考えても、この場でそういう手は不味いのではというのも一部あって、 実際に後で梅沢さんから指導が入っていた。

次にどこへ打つかを検討するのに、私のようなヘボとは違い、実に様々な可能性を検討し、 というより、何か素晴しい手がひらめいてしまうような打ち方をする。 小学生のうちにプロデビューするであろうと期待されている天才囲碁少女として有名なのだが、 やはり凡人とはまったく違う脳をもっているようだ。

対局は里奈ちゃんがリードしたまま中盤に入り、このまま進んでしまえば誰の目にも里奈ちゃんが 勝ってしまうわけだが、何も事件が起きず試合が終ってはつまらない。 そこは、かわいい系の顔、すらりとした体格の梅沢由香里であるが、 実は女性棋士は戦いが好きであり、じっくりと獲物を仕留めることで有名な梅沢棋士が、 今回も本領を発揮し、大石(大物)を仕留めて、里奈ちゃんが負けてしまった。

しかし、試合そのものはとても見ごたえのある試合で、 とくに里奈ちゃんの打った手の幾つかは未だに目に焼き付いている。 まるでプロの手を連発するのだというのを近くで見られただけで良い経験になった。

藤沢里奈ちゃんというのは、藤沢秀行初代名誉棋聖の孫である。 藤沢秀行は、ポカさえしなければ最強の棋士と言われ、「異常感覚」という名誉ある枕詞を戴いている。 棋風、生活も異常感覚で、良くいえば豪放磊落と言われている。 そういうことが、もう既に里奈ちゃんの囲碁の打ち方に出ているように感じた次第である。

今年の正月は、今までにやったことのないことをやったし、内容的にも良かった。 これで今年は、今までにないほど素晴しい年になる、かな。


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