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文部科学省、学習指導要領にパズルを盛り込む

2009年1月22日

『高等学校学習指導要領案』(平成20年12月、文部科学省)の 数学教科の科目の1つに「数学活用」がある。(指導要領案54ページ)

文部科学省高等学校学習指導要領 高等学校学習指導要案(本文、PDF)

数学活用とは、 「数学と人間とのかかわりや数学の社会的有用性についての認識を深めるとともに, 事象を数理的に考察する能力を養い,数学を積極的に活用する態度を育てる。」との説明がある。 とかく数学という科目が、高等学校の科目において、現実の社会活動との結びつきが弱く、 数学という学問を学習する目的を明確にしないまま、 大学入試のための重要な科目程度で終わっているのが現状だろう。

それを打破し、数学が実際の生活や、産業などと深い関係を持つことを教えるために、 数学がいかに活用されているか、また実際にどう活用するか、 とくに数理論理的な考え方を養うのが、今回の改訂の重要項目となっているようだ。

どういう内容を教えるかに関して、 (1) 数学と人間の活動 と  (2) 社会生活における数理的な考察 の2項目がある。 パズルは、どちらにおいても、現実にはいろいろ利用されたりしていると思うが、 指導要領では、「(1) 数学と人間の活動」の中に加えられた。

(1) 数学と人間の活動
数学が人間の活動にかかわってつくられ発展してきたことやその方法を理解するとともに,数学と文化とのかかわりについての認識を深める。
ア 数や図形と人間の活動
数量や図形に関する概念などと人間の活動や文化とのかかわりについて理解すること。
イ 遊びの中の数学
数理的なゲームやパズルなどを通して論理的に考えることのよさを認識し,数学と文化とのかかわりについて理解すること。

IT技術がどんどん進歩・変化しているが、IT技術だけをいくら教えても、 そんなものは次々と変化していくもので、 実際に必要な能力は、もっと基礎となる数理論理的思考能力である。 今回の改正では、数学と実生活、社会との関わりにふれるとともに、 今まで教育の敵みたいに考えられていたゲームやパズル (といっても数理パズルであるが)に取り組み、論理的思考を目指す必要性に やっと気づいた訳だが、実際には高等学校に限らず、小学校、中学校でも大いに利用できる。

実際、IT関連の第一線の研究者、技術者の中には、数理ゲーム、パズルを趣味にした者は多い。 一番有名なのは、富士通の創始者というか、日本のコンピュータの父とも言われている池田敏雄は、 囲碁が極めて強かったし、富士通のブランド名FACOMがそのままパズルの名称になったものもある。 コンピュータの性能評価から人工知能にいたるまで、今でも数理ゲーム、パズルは大いに利用され、 IT技術の進歩の基礎支えをしている。

小学校では鶴亀算・仕事算・旅人算・通過算など多数の特殊なというか、 非現実的な計算方法を教えたりしているが、かなり無理があると思う。 鶴亀算はその最たるものである。鶴の足と亀の足を数えるというのは、 現実ではありえない無茶な発想であり、初めから鶴と亀を数えるのが妥当である。 あれでは、どんどんひねくれた人を作るだけである。

今では、様々な教育分野で利用可能な数理パズルも多数存在する。 解法テクニックを勉強している者が良い成績になるようなレベルでは、教育効果は低い。 もっと、多数の、様々なパズルに触れ、 その場で考え対応できる能力を身につけることが、今後はますます必要になる。 そのためにも、より他種類の、様々な分野のパズルを利用した方が良いだろう。

教師におかれては、様々な事柄を抽象化し、ゲーム・パズル化することで、 その本質を教材として用いることもできる。 このあたりになると、慣れないと大変と思う教師もいると思うが、 極めて高い教育効果が期待できる分野である。 実際に、経済ゲームとか、組み合わせ、最短経路問題など重要な問題が多数あり、 とても奥の深い分野でもある。

インターンシップ体験記


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