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電子出版の原稿を書いたのだが、出版界はなかなか先行きが暗い

2014年11月21日

このところ、アルゴリズムに関する実践的な本の執筆をしていた。 本格的な執筆は久しぶりである。
内容は、遺伝的アルゴリズムで、実践についてだけ書いている。

本書は、カラー画面のキャプチャーをとてもたくさん使っていて、色に意味があるので、 紙に白黒で印刷すると意味不明になる個所も多々あるので、とりあえず電子出版だけを考えて書き始めた本である。

それでも、校正まで終わって、後はデザインとその他の作業だけになっていて、著者の作業はほぼ終了してほっとしているところだ。

でも、今の日本の出版界を取り巻く状況はほっとできるような状況では全然ない。
本を書いている途中で出版社が消えてなくなることがあっても、それほど不思議ではない状況である。
まあ、危な過ぎる出版社から本を出すという危ない橋は渡らないが。

コンピュータ技術書以外に、パズルの問題集、パズル雑誌などへの問題提供もやっている。 出版業界は調子が悪いとはいえ、健康・介護系、パズル系などはそれほど悪いわけではない。 でも、パズル系に関しては、とてもネットでは書けないような事情を抱えている出版社も多く、 かなりつまらないことで経営破綻に陥ることがあまり珍しくない。
パズルの取引先にインフォレストという『小悪魔アゲハ』で非常に注目されていた出版社があったが、馬鹿な運命をたどってしまった。
最近だと、長崎出版だろうか。利益を出し過ぎて、金を使い方を間違えて破綻というバカバカしい事態に陥った。
他にもあるが、以下省略。

出版業界がどのくらいの安定したマイナス成長産業か意外と知られていないらしい。 このところ、毎年、年数%のマイナスであったのが、最近はマイナスの度合いが加速されているようで、年10%のマイナス成長に近づいているという恐ろしい世界である。 こんなペースで転がり落ちると、市場規模が半分になるのも近い。
どのくらいのカーブかは、いろいろな統計が発表されているが、下の図は出版科学研究所のページにあったものである。

 
▲出版市場規模の推移(出版科学研究所調べ)

これだけ落ちているけれども、電子出版が伸びているだろうというけれど、まだ1000億円規模でしかなく、紙の出版の減少を補完には程遠い。
それに、大学生の4割は読書ゼロだという情報もある。
今の出版業界を支えているのは、若者ではなくて、時間のあるシニア層である。つまり団塊の世代なのだ。 でも、この状況はせいぜい10年くらいしか続かないので、さらに下がることが予測されているわけだ。

こんな状況は以前から知っているわけだが、それでも書くことにした訳だ。 それは、今回書いた分野の本が最近あまり出ていないことと、 この分野の研究者が減り気味であるし、 それ以上に、情報科学・情報工学の学生が、 「どんな勉強、どんな研究すれば就職に有利ですか?」というしょうもない質問をするようになったのを複数の大学から聞き及んだのが多い。
そういう状況にあえて、直接就職に役立つわけではないが、実践的な説明をし、ソースリストも公開することで、 すこしでもプログラムを弄り倒す学生が増えればと思っているだけである。

もう1つの目的は、パズルに対する誤解を解くことにある。 パズル作家が手作業で作った問題の方がはるかに良いという誤解である。 ちゃんと、パズルとプログラム、人工知能などを知っている人が作れば、十分過ぎるほど良い問題ができるのである。 今や、自動生成とパズル作家作を区別するのはほとんど無理で、実験の結果もそう出ている。
コンピュータ将棋は、もう羽生さん以外には負けないレベルに達しているようで、 それを考えればパズルの自動生成だってどんどんレベルが上がっているのは当然の結果なのだ。

また、最近、情報知能工学科などの名称の学科がやたらに増えている。 そして、ゲームやパズルをテーマにした論文も結構見掛ける。
でも、それらの論文の内容が、時には結論が明らかに違うだろうというものがある。 つまり、簡単に判例を作ってしまえるような結論がちらほら存在するのだ。 連絡してくれれば、ホイホイ教えてしまうのに、残念なことである。

年内に発売になると思うが、本自体の紹介は発売になってから書くかも知れない。


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