ホームページ目次前の話次の話

EPUBでの電子出版をしてみて(下)

2015年1月26日

紙で出すのもあるのだが、特殊になればなるほど部数が期待できなくなる。 オライリーから、電子出版ならページ数は多くても少なくても出せるからということで、とりあえず気楽に書き始めた。

実践的な本ということで、画面キャプチャーがかなり多い。 それも、カラーをいっぱい使っていて、そのまま紙に黒だけで印刷すると、ほとんど判別不能になる画面であった。 でも、電子出版なら、カラーで問題ないので、カラーだらけの画面のキャプチャーを続けた。 画面キャプチャーで困るのは、画面上での細い線の扱いである。 電子出版での画像の扱いによるのだが、画像が縮小・拡大して表示されることがあり、 その時に画像がボケたり、細い線が消えたり色々なことが起きるので、ちょっと注意することがある。

EPUBなのだが、最初は普通に書いて、PDFで原稿を見てもらって、EPUBに変換してもらってからは、 ブラウザで見たり、EPUBのビューアを利用したりしていた。 オライリーの読者の場合、どうしてもビューアを特定できなくて、様々なものが使われてしまうのだ。 そのあたりの細かい調整は、オライリーに任せっきりであった。

電子出版のフォーマットが色々あるようだが、そのフォーマットでガリガリ書くことは普通はありえないし、 そんな作業をしてしまったら、可搬性がなくなって、他のフォーマットへの展開ができない。 オライリーの場合もそうなのだが、ツールがあって、それで変換するわけである。 そういうことだから、EPUBの仕様にある機能が全部使えるなんてことはない。 EPUBの機能以上に、EPUB変換ツールの機能に色々制約されるのが現実なのだ。 そのために、まあ適度に妥協している点はある。

EPUB対応の作業を全然自分でやっていないので、執筆作業自体は、通常の本の執筆と何一つ変わらなかった。 EPUBへの変換前に、できる限り校正のレベルを上げるようにした。 EPUB自体でものすごくレイアウトを頑張るという編集方針もあるし、分野によってはそれが必要なのだが、 技術的な内容なので、そのあたりはかなり流している感じである。

目次はあるのだが、索引はつけていない。 電子データなので、EPUBリーダの検索機能を使えば、索引の代わりは十分できるのだ。

今回、発売までかなり時間がかかったのだが、その最大の原因は、本の構成を途中で変えたことだ。 本は、導入部、第1部、第2部、第3部の最終構成になっているが、最初、第1部〜第3部だけだった。 第1部でパズルを紹介し、第2部で遺伝的アルゴリズムでの自動生成を行い、第3部が応用編だった。 しかし、遺伝的アルゴリズムが初めての人には難し過ぎるということで、第2部の最初にあった 遺伝的アルゴリズムの概要を最初にもってきて、概要レベルではなく、巡回セールスマン問題という よく使われる例を用いて、実践遺伝的アルゴリズムの初歩としたのだ。 ただし、第1部以降との繋がりも考えて、普通の本には決して出てこない方法で巡回セールスマン問題を解くというのを試みた。

というわけで、普通はやらないようなことをあれこれやってしまった本である。 普通は、もう少し採算と、技術的な内容のバランスだけ考えるのであろうが、 どこを調べても出てこないような説明をしようと、つい今回ももがいてしまったのが本書である。 遺伝的アルゴリズムのごく普通の知識を普通に身につけたい普通の人には、ちょっと違う本である。


ホームページ目次前の話次の話