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遠藤寛子


書名算法少女
文庫ちくま学芸文庫 エ−11−1
初出1973年10月10日岩崎書店より刊行、後に絶版
発行2006年8月10日
頁数263ページ(本文)
定価900円(本体)
ISBN4-480-09013-4

江戸時代、和算が盛んだったのだが、1775(安永 5年)、千葉あきなる少女が 和算の本を出した史実に基いて書かれた歴史小説である。

といっても、書き方は非常に現代的な文章になっているので、ごく普通に読める。 和算についての知識はとくに必要なく、算数にちょっと興味を持ちながら この本を読んでくれたらと思うような小説である。

とくに、高校生に読んで欲しい。算数に興味のある人なら、中学生でも充分読めると思う。 算数、数学の教科書や参考書を読むより、こういう本をちゃんと読んでおく方が、 はるかに重要だと思う。本書は、一旦廃刊になったのだが、熱心な高校の先生方のあ、 数学セミナーの編集者の応援などによって実現したことが、「あとがき」に書かれていた。 そこに出てくるいくつかの高校は、本当に著名な高校である。

本書では、円周率の求め方について色々と出てくる。 18世紀後半には、日本でも高精度で円周率を求める方法が研究されていた訳だ。 和算は、あるいみ非常に発達したのだが、流派の枠に捕われたりして、 殿様の遊び、庶民の道楽としてしか発達せず、 残念ならが科学技術の発展の基礎としては直接は役立たなかった。

「算法少女」が出た前年、杉田玄白が「解体新書」を出している。 国内は飢饉、一揆があり、また海外(オランダ)からは西洋の科学技術が伝わってくる時代であった。 そのような時代が、算法少女を産んだのではないだろうか。

2006年10月30日


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